「なんとなく気になる」を生む、単純接触効果

「この商品、前にも見たことがあるな」「最近よく見かけるな」と感じるうちに、いつの間にか気になる存在になっていた――そんな経験はありませんか?
私たちは、何度も目にしたり耳にしたりするものに、少しずつ親しみを感じることがあります。心理学では、こうした現象を「単純接触効果(ザイアンス効果)」と呼びます。
今回は、この身近な心理効果をヒントに、ECサイトでお客様との接点を増やし、「知っている」から「気になる」「買ってみたい」へつなげる方法について考えてみます。

「何度も見ると、なんとなく気になる」の正体

初めて聞いた商品名はあまり印象に残らなくても、SNSや広告などで何度か見かけるうちに、「この商品、知ってる」と感じるようになることがあります。

もちろん、何度も見れば必ず購入につながるわけではありません。価格や品質、必要性、タイミングなど、購入を決める要素はさまざまです。それでも、「見たことがある」「知っている」という感覚が、商品に興味を持つきっかけになることはあります。

私自身も「何度も見るうちに気になった」

実は私自身、最近「これって単純接触効果かも」と思った経験がありました。私はバレンタインデーの催事でチョコレートをウン万円分購入してしまう、ちょっとしたチョコ好きなのですが、あるときSNSで、チョコレートの定期便サービスを見かけました。最初は「へえ、こんなのあるんだ」くらいで、特に購入しようとは思いませんでした。(せっかくなら自分で厳選したものを購入したいですしね!)ところが、その後もSNSを見ていると、同じ商品の広告が何度か目に入ってきました。
2度、3度と見かけるうちに、「何度も出てくるということは人気なのかな?」「内容も結構自分の好みに合うかも」と、だんだん気になってきたのです。そして、ついには詳しく知りたくなって、販売元のホームページまでアクセスしてしまいました。ただの広告のひとつという認識だったのに、まんまと「ちょっと気になる」存在に…
次にまたSNSで偶然流れてきたら買ってしまうかも、なんて思っている自分に気づき、何度も目にすることの影響を実感しました。

「一度見てもらって終わり」にしない

この体験を「ふくしま市場」で置き換えてみると、さまざまな形で商品との接点をつくることが大切だと分かります。例えば、SNSやメッセージアプリ、メールマガジンなどで商品を紹介する方法。同じ商品でも、

・旬や時節に合った商品
・生産者さんのこだわり
・おすすめの食べ方
・贈りものとしての魅力
・商品の背景にある地域の特徴

など、切り口を変えて紹介することができます。最初はただ「おいしそうだな」「綺麗だな」と思うだけだった商品が、次に見たときには「福島県産なんだ」と知り、さらに別の機会には「こんな食べ方、使い方ができるんだ」と興味を持つ。そうした小さな接点が、「なんとなく気になる」という気持ちにつながっていきます。

福島県産品には「伝えられる魅力」がたくさんある

福島県には、桃や梨などの果物をはじめ、米、野菜、水産品、スイーツ、工芸など、季節や地域によってさまざまな魅力があります。そして産地直送の商品には、商品そのものだけでなく、「誰が作っているのか」「どこで作られているのか」「どんな季節に楽しめるのか」といった背景があります。こうした情報は、一度ですべて伝える必要はありません。

例えば桃なら、最初は旬の商品として紹介し、次は品種の特徴について、さらに次は生産者さんのこだわりについて紹介する。別の日には、桃を使ったレシピのアイデアなどを紹介することもできます。同じ商品を何度も見てもらいながら、毎回少し違った情報を届ける。そうすることで、お客様にとっても「同じ広告を繰り返し見ている」というより、「福島の桃について少しずつ知っている」という体験になります。

「見る」から「選ぶ」までには、いくつかの段階がある

ECサイトは、お客様に来ていただくことがまず第一関門ですが、訪れたお客様が、最初から購入するつもりとは限りません。

「SNSで見た」
  ↓
「こんな商品があるんだ」
  ↓
「ちょっと気になる」
  ↓
「今度買ってみようかな」

このように、購入までにはいくつかの段階があります。だからこそ、「今すぐ購入してもらう」ことだけでなく、「知ってもらう」「覚えてもらう」「興味を持ってもらう」という段階も大切です。私自身のチョコレートの体験も、最初は、購入するつもりはまったくありませんでした。何度か目にして、興味を持ち、主体的に調べてみる。その先に「機会があれば買ってみようかな」という気持ちが生まれました。

「ふくしま市場」の商品についても、まずは知ってもらう。そして、少しずつ興味を持ってもらう。そのための接点を増やしていくことが、販売促進の一つの方法になるのではないでしょうか。

まとめ

私たちは何度も目にしたり耳にしたりするものに、自然と親しみを感じます。この心理現象「単純接触効果」は、ECサイトの集客や販売促進にも役立ちます。大切なのは、「一度商品を見てもらって終わり」にせず、切り口や視点を変えながらお客様との接点を増やし続けることです。旬の情報や生産者のこだわりなど、ストーリーを少しずつ届けることで、お客様の気持ちは「見たことがある」から「気になる」「試してみたい」へと変化していきます。発信ひとつに対する販売成果だけで成功・失敗を判断するのではなく、認知や興味のステップを丁寧に重ねていくことこそが、選ばれるショップ作りへの着実な一歩になります。
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