こんにちは。ドローン事業部マネージャーのOTANIです。
前回のブログで、米国の非営利団体RoboNation(ロボネーション)が主催する水中ロボットの競技会「SeaPerch Challenge(シーパーチ・チャレンジ)」の世界大会を視察するため、ワシントンD.C.を訪れた話を書きました。今回はその続きです。
前回お伝えしましたが、SeaPerchは水中ロボット(ROV)の製作を通じて、工学、科学、チームワーク、課題解決などを学ぶ、小学生高学年から高校生を対象とした教育プログラムで、年間25万人以上の生徒が参加しています。SeaPerch Challengeは、そのプログラム内で自分たちが製作した水中ロボットを使って行う競技大会で、100以上の地域大会が開催されています。そして、そこを勝ち上がった各国・各地域の代表チームが、「International SeaPerch Challenge」に進みます。
今回視察したこの世界大会には、約200チームが参加し、自分たちが作った水中ロボットで競技を繰り広げました。

プール競技① 障害物チャレンジ
競技会は、自作のSeaPerch(ROV)で、プールに設けられた2つのコースにチャレンジします。ひとつは約1メートル間隔で直線に設置された5つのフープをくぐるスピード競技「障害物チャレンジ」です。スタート地点から5つ目のフープをくぐり一度浮上したあと、スタート地点に戻ってくるまでの速さを競います。フープの向きはすべて異なっており、くぐる方向は決められていませんが、ケーブルが繋がっているため、戻ってくるときは行きと反対側からくぐって戻らなければなりません。
SeaPerchには、左右後ろ向きに取り付けられたモーター付きのスラスター(プロペラ)と、浮上・潜水用に縦向きに取り付けられたスラスターの出力を手元のコントローラーで調整しながら機体を操縦します。その操縦は非常に繊細で難しく、なかなか思うように操縦できません。ただ、生徒たちは、何百回も練習しているからか、軽々とフープをくぐっていきます。
ちょうど、私たちが見ていたときに最終的に2位になるチームが競技していましたが、恐ろしいほどの速さで、まるで生き物のように動き、35秒でクリアしていました。
(ちなみに私たちも競技終了後に前日に自分で作ったSeaPerchでチャレンジしてみましたが、10分近くかかるという体たらくでした…)

プール競技② ミッションチャレンジ
2つめの競技は、ミッションチャレンジで、SeaPerchを使い水中で様々な課題に挑みます。このミッションチャレンジは、毎年テーマが設けられており、2026年のテーマは「嵐への災害対応(STORM RESPONSE)」でした。嵐で壊された橋やダムの復旧や、がれきの除去、水質サンプリングなど、災害対応をイメージし、水中のパイプを移動したり、穴をふさいだり、沈んでいる重りを回収したりします。ひとつひとつのミッションが複雑で難易度が高く、それらすべて行うには相当なスキルと綿密なプランニングが必要です。
さらにこのミッションを難しくするのが、障害物チャレンジとのSeaPerchの共用です。実は、このプール競技では障害物とミッション、両方のチャレンジを同じ水中ロボットを使って行う必要があります。つまり、スピード競技である障害物チャレンジを重視して機体を軽くしてしまうと、ミッションチャレンジで重りを持ち上げられない、パイプが移動できないといった問題が発生します。なので、生徒たちはいかに両コースをバランスよくクリアするかを考えながら、SeaPerch(ROV)を組み立てる必要があるのです。ちなみにこのSeaPerchは、細かなルールはあるものの、大きく①パイプを使っていること、②提供されたモーターを使うことをクリアしていれば、機体の形状や付属機能などは、ある程度自由に工夫できます。そのためSeaPerch Challengeの控室となる体育館には、各チームがそれぞれのアイデアや想いを形にした個性豊かなSeaPerchがたくさん並んでいました。

子供も大人も大盛り上がりの競技会
今回の世界大会には、全米各地と世界から合わせて約200チームが参加しました。会場となったメリーランド大学カレッジパーク校は、メリーランド州で最も規模の大きい大学で、敷地内には東京ドームクラス(5万人規模!)のスタジアムがあるなど、とにかく規模の大きな大学です。スポーツが盛んな大学として知られており、今回使用したプールも15レーンほどもある巨大なものでした。
さらに参加する生徒は総勢1,000名近くになるため、先述の通り、その控室として用意された体育館も巨大なものでした。体育館には長テーブルがいくつも並べられ、ひとつのテーブルを2チームでシェアして使います。各々のテーブルでは、競技に向けてSeaPerchを調整したり、自分たちのロボットやプレゼンテーション用ポスターを設置するなど、自由にアピールしていました。また、体育館内には競技会のグッズ販売をはじめ、コスチュームまで用意された写真スポット、各々が自由に書いた付箋を貼り付けるメッセージボードなど、競技会とは思えない楽しい雰囲気に包まれていました。また生徒同士も自由に交流し、体育館全体が熱気に包まれているようでした。
さらに熱気を感じたのは、競技会場となったプールの観覧席です。観覧席には、生徒の親や関係者が応援にきているのですが、日本のように「黙って見守る」といった応援ではありません。生徒が出てくると同時に「Yeahhhhh!」や「Wooooooh!」と大きな歓声を上げて、生徒たちの一挙手一投足にめちゃくちゃ盛り上がります。そのため、競技会自体にも自然と熱気があふれ、スポーツを見ているように私たちも自然に声が出ていました。こうした子供たちのチャレンジに、大人も一緒になって楽しむ姿は、見ていて素直にいいものだなと感じました。



このプールでの競技会のほかにも、生徒たちのプレゼンテーションの様子など、まだまだ書き足りないことがたくさんあります。というわけで、今回でSeaPerch Challengeの話は終わるつもりだったのですが、次回は表彰式の様子や、各チームにインタビューした内容などをお伝えしたいと思います。
それで本当に最後です(笑)。では!

