世界25万人が学ぶSeaPerchを視察してきました

こんにちは。ドローン事業部マネージャーのOTANIです。

RoboNationのダリルCEO(写真左)と小林代表理事(同右)

5月下旬からワシントンD.C.に行ってきました。目的は2つあり、ひとつは開発中の水上ドローンARIVIAのお披露目。そしてもう一つが次世代のSTEM(科学・技術・工学・数学)人材の育成を目的とする米国の非営利団体Robonation(ロボネーション)が主催するロボット競技会「SeaPerch Challenge(シーパーチ・チャレンジ)」の視察でした。

実はこの主催団体のRobonationは、当社が運営する一般社団法人日本水中ドローン協会と提携しており、今後この大会の日本版「SeaPerch Japan Challenge」の開催を予定しています。そのため、ワシントンD.C.で開催される世界大会に合わせて訪問し、同団体との交流と日本開催を前提とした競技会の視察を行ってきました。(プレスリリースはこちら

世界中で年間25万人以上の生徒が参加する「SeaPerch」

まずは簡単にSeaPerchについて、ご紹介します。SeaPerchは、子どもたちが自分たちで水中ロボット(ROV)を製作し、競技やミッションに挑戦する教育プログラムです。小学生高学年から高校生を中心に、ロボット製作を通じて工学、科学、チームワーク、課題解決を学びます。2011年以降、全米50州と世界35か国以上に広がり、年間25万人以上の生徒が参加。地域大会も100以上開催され、その先に今回視察した世界各国の代表チームが集まる「International SeaPerch Challenge」があります。

水中ロボットを入り口に、次世代の海洋・ロボット人材を育てる、世界的に実績ある教育プログラムです。ちなみにRobonationは、この低年齢向けの競技会「SeaPerch Challenge」から大学レベルの高度な自律型システムを学ぶ「RobotX Challenge」まで、学生が段階的にスキルを習得できる学習パイプラインを構築しています。

地域大会を勝ち抜いた子どもたちが世界中から参加

私たちのために準備された講義

先にお伝えすると、今回の訪問にあたりRobonation側の対応(おもてなし?)は非常に手厚いものでした。あらかじめ、競技会視察の前に、まずは日本で主催する私たち自身の理解を深めてもらいたいと、2日間(実質1.5日)の講習が提案されていました。我々も「では、是非お願いします」と軽く応えていましたが、その講習内容は想像以上に準備されたものでした。

手厚いおもてなしからも日本への期待が感じられました

今回の参加者は、日本から行った私たち5名のみでしたが、そのためにRobonationトップのダリルさんをはじめ、通訳兼アテンダーとして米国・サンディエゴ在住の吉村さんが参加してくださいました。

またスライドやテキスト教材は日本語に翻訳したものが用意され、さらに講師を務めてくれたアランさんは、一時日本に滞在していたことがあることから、ところどころ日本語を交えて話してくれるなど、終始私たちがリラックスして講義を受けられるように工夫してくれました。

講義では、まずはこのSeaPerchについての説明と目的について解説。その後、実際に私たち自身が実際に水中ロボット(ROV)を作ってみるという流れで行われました。

SeaPerchは人材育成のための総合プログラム

SeaPerchの講義で印象的だったのは、このプログラムが単なる「ロボット製作体験」ではなく、人材育成のためにかなり体系的に設計されているという点です。子どもたちは、製作の過程で、浮力やモーター、電気回路といった技術的な知識を学びます。ただ、そういった技術的な部分だけでなく、チームで役割を分担することや、うまく動かなければ原因を考え、試行錯誤しながら改善することなども同時に学びます。

講義では、SeaPerchで育てる力として、時間管理や柔軟性などの「パーソナルスキル」、チームワークやコミュニケーション、リーダーシップなどの「プロフェッショナルスキル」、そして設計・製作・テスト・改善といった「テクニカルスキル」の3つが必要だと言っていました。つまりSeaPerchは、ロボットを完成させることが目的ではなく、むしろ、上手くいかなかった時に何を考えるか、チームでどう話し合うか、次にどう改善するか。そのプロセス自体が学びになっています。

通訳兼アテンダーの吉村さん(写真左)と講師のアレンさん(同右)

また、作業内容や失敗したこと、改善したことを記録に残すことも重視されています。これは単にレポートを書くためではなく、後輩など次世代のチームに知識や経験を引き継ぐためでもあります。

ものづくりの経験を一過性のものにせず、チームの経験として積み重ねていく考え方は、学校教育だけでなく、企業の現場にも通じるものがあると感じました。実際に代表のダリルさんは、「競技で勝つことよりも、失敗から学び続けることの方が重要だ」という考え方を繰り返し述べていました。

こうした説明を受けたうえで、いよいよ私たち自身もSeaPerchのキットを使い、水中ロボットの製作に挑戦することになりました。

チームに分かれて、いざ製作!

SeaPerchは、水中ロボット(ROV)を製作するための基本キットが存在します。ただし、先にお伝えした通り、SeaPerchの目的は水中ロボットを作ること自体ではなく、そこから課題を見つけ、改善に向けて創意工夫する力を養うことが重視されています。そのため、最終的に競技を行う際は、素材としてパイプと規定のモーターを使用する以外は、自由にロボットを創作して構いません。とはいえ、初心者がゼロから作ることは現実的ではいため、ロボットを製作するための素材や工具などのツールがセットになった基本キットを使用する場合がほとんどです。

今回、私たちもこの基本セットを使用し、自分たちの機体を作ることになりました。まずは、通訳の吉村さんを含めた6人が2人ずつ3チームに分かれ、それぞれ形の違う3種類の機体を製作します。私は吉村さんとチームを組み、基本セットのなかでも一番小型のミニタイプを製作することになりました。ちなみにRobonationでは、1チーム4人以下を推奨しています。理由はそれ以上の人数になると、役割がなく見ているだけの子どもが出てくるためとのことでした。反対に2人も、負荷が高くお勧めではないとのことでしたが、今回は大人ということで2人1組での製作になりました。

今回、私たちもこの基本セットを使用し、自分たちの機体を作ることになりました。まずは、通訳の吉村さんを含めた6人が2人ずつ3チームに分かれ、それぞれ形の違う3種類の機体を製作します。

私は吉村さんとチームを組み、基本セットのなかでも一番小型のミニタイプを製作することになりました。ちなみにRobonationでは、1チーム4人以下を推奨しています。

理由はそれ以上の人数になると、役割がなく見ているだけの子どもが出てくるためとのことでした。反対に2人も、負荷が高くお勧めではないとのことでしたが、今回は大人ということで2人1組での製作になりました。

中学生以来のはんだ付けに悪戦苦闘…

SeaPerchの基本キットには、パイプやフィルムケース、ケーブルやコントローラー用の回路基板と部品などが入っています。また工具として、ペンチやドライバー、テスターやはんだごてなどが用意されています。これらを使い、水中ドローンを組み立てていくのですが、とくに大変だったのが、コントローラーの回路と部品のはんだ付けでした。遠い遠い昔に、技術の授業(懐かしい!)でやったことがありましたが、それ以来です。ただなんとなく、「接続部を十分に温めてからはんだを付けて、溶けたらはんだを離して、最後にはんだごてを離す」という、記憶が残っていて、説明を受けた際もなんとなく出来る気がしていました。しかし、頭で考えるのと実際にやるのは大違い!まったく思ったようにいかず、悪戦苦闘…。

完成した我がチームの水中ロボット!

さらに回路も小さくて、見えない…。何とか先生のジェームスさんに手伝ってもらい、コントローラーを組み上げることができました。

そして、吉村さんが切断し加工してくれたパイプ(機体のフレーム)に、モーターなどを取り付けて、ようやく完成! 正直、もっと簡単にできると思っていました。

しかし実際は想像以上に大変で、その分、完成した機体には大きな愛着が湧きました。「早く水に入れて操縦してみたい!」と思ったものの、当然会議室には水槽はないので、翌日の競技会が終わったあと、会場のプールで試運転させてもらうことになりました。

と、ブログが長くなってしまいましたが、実際の競技会の様子はぜひお伝えしたいので、次回に書かせていただきたいと思います。では!