行政の空から羽ばたいて──ドローンで描く第二のキャリア

有限会社 若林造園土木 顧問/橋本義澄 さま

郡山市役所勤務時代、ドローンの導入・活用を推進してきた橋本さまは、定年退職後もその経験を生かして民間企業で活動を続け、地域の空を飛び続けています。行政で培った知見を、次のフィールドでどう生かしているのか─。今回は橋本さまの“第二のキャリア”についてお話を伺いました。

聞き手:ARAI ライター:ARAI

自己紹介と経歴について

1989年4月 郡山市役所入庁。
2025年3月 定年退職。勤続36年。現在66歳。

<主な配属部署と業務>
下水道課  維持管理
公園緑地課 公園の維持管理、新規整備 
契約検査課 工事の竣工検査 

令和7年6月~有限会社 若林造園土木 顧問に就任。

郡山市役所を退職後、元々ドローン仲間の一人だった、若林造園土木の若林社長に声をかけていただき、これまでのドローンの経験がお役に立てればと入社しました。

ドローンとの出会い

2014年、品川元市長の新しいもの好きが高じて、ドローンのデモンストレーションを開催したのですが、私も参加して興味をもったことがはじまりです。それからドローンを個人購入し、趣味で飛行していました。まだその時はトイドローンに毛が生えたような性能のもので遊ぶ程度でしたが、本格仕様のドローンとして最大手メーカーDJIのPhantom3を購入しました。

そして2018年に、スペースワンさんがDJIドローンに特化した操縦者教育プログラム/民間資格の「DJI CAMP」を開講していることを知り、参加条件である10時間以上の飛行記録のクリアを目指して、新たにPhantom4を購入して練習に励みました。ATTIモードのビジョンセンサーOFFの操縦練習は大変でしたが、無事に初回参加で試験にも合格できました。

その経験の中で、行政にも徐々にこの技術を利用できないかと考えるようになり、少しずつ行動に移していったのです。

行政でのドローン活用の取り組み

多少なり行動はしていたのですが、本格的に導入と運用を開始したのは、2020年から配属された技術検査課(現在の契約検査課)からになります。ため池や河川の浚渫(しゅんせつ)工事の状況確認(※浚渫:土砂の除却)に利用し、人が立ち入れない場所を効率的に確認できるようになりました。

他部署からの協力要請で、道路をつくるための地域説明会で見せる完成予想図に空撮画像を使用することも増え、広域をわかりやすく撮影し、確認できるドローンの有用性が認知されるようになっていきました。また同時に、郡山市内の事業者にも導入を勧めることで、普及が進んでいったように思います。

-民間資格を取得し、しっかりと現場経験がある自治体職員は希少な存在だったと思います。

実際に自分で使って点検や法令ルールの重要性も理解していましたし、その経験と民間資格取得で学んだことを少しでも活かせればと。スペースワンさんにも度々職員向け団体講習を依頼していましたが、私自身も技術者向けの勉強会で講師を務めることもありました。

-弊社が受託させていただいた講習会では、進行役だけでなく、市で導入したMavic3をデモフライトしながら説明したりと、講師のような対応をされていて素晴らしかったです。

定年退職後のキャリア選択について

定年退職後、何か仕事をしようとは考えていたのですが、当初はドローンを仕事で使うことは考えていませんでした。そんな時に、もともとドローン仲間で初期設定や手続きのサポートをしていた、弊社の若林社長から誘っていただいて…。

ニュースなどでドローンの情報はキャッチしていたので、これから益々普及していく中で、今度は民間企業の操縦者として頑張ってみようと、入社を決めました。ドローンの経験を買っていただいたご縁もありますし、出来る限り会社の発展に寄与したいと思っています。

-ちなみに今日も空撮業務を終えて駆けつけてくださいました。

主に現調や進捗の撮影を行っています。現場担当者との認識のズレであったり、飛行してみて気付く障害物などの危険性とか、毎回何かしらの苦労はあります。これまでの経験を糧に、発注者の意向にフィットさせながら、安全かつドローンの特徴を活かした撮影を心掛けています。

今後の目標やビジョン

目下の目標は、国家資格の取得です。

業務でドローンを飛行する上では、やはり国家資格が必要だと考えたからです。会社もバックアップしてくれていますし、人材開発支援助成金が利用できたことも大きいですね。

-今年12月に弊社で二等無人航空機操縦士講習を受講いただきます。その際はよろしくお願いします。
 一発ストレート合格を目指しましょう!

練習しておきます!あと仕事ばかりでなく、趣味で綺麗な景色もドローンで撮りたいですね。

インタビューを終えて
2017年11月スペースワンは郡山市と協定を締結し、ドローンの普及啓発や人材育成・利活用の取り組みを進めてきました。その歩みの中で橋本さまは、導入や育成を支える柱として尽力され、私たちの活動を内側から支えてくださいました。そのドローンから生まれたご縁でスタートした第二のキャリア。これからも橋本さまの挑戦と飛躍を応援していきたいと思います。

<会社概要>
企業名:有限会社若林造園土木
代表者:若林宏一
住 所:〒963-1304 福島県郡山市熱海町安子島字馬場82
事 業:とび・土工工事業、 土木工事業、 舗装工事業、 石工事業、 造園工事業
U R L :https://www.kensetumap.com/company/92456/