こんにちは、ドローン事業部の市川です。
先日、東京都で水中ドローンの業務案件に参加してきました。前回の北関東での貯水槽点検に続き、今回もテザーケーブル管理を担当させていただきました。
水中ドローンは、様々なアタッチメントを装備できる拡張性の高さが魅力です。測位装置や、高性能なソナー。こうした機能を持つ装備に、どうしても目が行きがちです。
しかし、今回の現場で特に印象に残ったのは、上長の「装備を外す」という判断でした。せっかく準備した装備を、現場の状況に合わせて潔く外す。その迅速で冷静な判断力に、プロフェッショナルの姿勢を学びました。
USBLという技術への期待

今回の現場では、CHASING M2 PRO MAXにUSBL(Ultra Short Baseline:水中測位装置)、マルチビームソナー、そして補助カメラという3種類のアタッチメントを装備して臨みました。
中でも私が特に注目していたのが、USBLという装置でした。
水中ではGPSが使えません。そのため、機体がどこにいるのかを把握するのが非常に難しい。前回の貯水槽点検でも、ケーブルの長さと手の感触だけを頼りに、機体の位置を推測していました。
USBLは、水上のレシーバーと水中ドローンに取り付けたトランスミッターが音響通信を行い、機体の位置を測定できる装置です。前日のブリーフィングで詳しい説明を聞いた時、「これがあれば、機体の位置がわかるなら便利だな」と思いました。
以前から知ってはいましたが、実際に使うのは初めて。水中での位置把握という、これまで最も難しかった課題を解決してくれる装備として期待していました。
「外します」という判断


現場に到着し、準備を進めていた時のことです。
軽く機体を操縦して水深を確認した上長が、「USBL、外します」と判断しました。せっかく装備したのに外すのか、と驚きました。理由は、水深が想定よりも浅く、USBLの性能を活かしきれないからとのことでした。
上長の判断は迅速で、迷いがありませんでした。
USBLは音響測位という特性上、ある程度の水深がないと性能を発揮できません。今回の環境では、その性能を活かしきれない。だから外す。
前日のブリーフィングで「この機能はすごいな」と思っていただけに、正直戸惑いました。でも、上長の判断は迅速で、迷いがありませんでした。
せっかく準備した装備を「使えない」と判断して外すのは、判断力と知識が必要です。その場の状況を正確に把握し、機体とアタッチメントの性能を深く理解していないとできない判断だと感じました。
藻の絡まりと冷静な対処


機体を水に入れ、いよいよ潜航開始。
スラスターを回した瞬間、何かが引っかかるような感覚がありました。
上長は「こっちに動かします」と宣言しましたが、実際の機体の挙動が異なります。ケーブルの張り具合や、水面の動きから、何かがおかしいと感じ、すぐに上長に報告しました。
上長はすぐさまスラスターを止め、機体を引き上げました。そこには、スラスターに絡まった藻がありました。
着水した瞬間に絡まったのです。
私自身、内心少し焦りました。でも、上長は全く動じていませんでした。淡々と機体を引き上げ、手作業で藻を丁寧に取り除き、再び潜航。
このトラブル対応の冷静さにも、学ぶべきものがありました。水中ドローンの現場では、予期せぬトラブルがつきものです。焦らず、冷静に、確実に対処する。その姿勢が、安全な業務遂行の基本なんだと実感しました。
ケーブル管理の新たな難しさ – 見えるが故の混乱
今回のケーブル管理で感じたのは、「見えるが故の難しさ」でした。
前回の貯水槽点検では、機体は完全に視界から消えていました。だから、ケーブルの長さと張り具合だけが頼りでした。
しかし今回は、水面から機体の様子が見えました。水しぶきが上がり、機体がどこにいるのか視覚的に確認できる。一見、やりやすそうに思えます。
しかし、そう単純ではありませんでした。
水面の反射や、ケーブルの延長線上とは異なる場所に上がる水しぶき。視覚情報と、ケーブルから伝わる感触の情報が一致しない。見えるが故に、機首方向や距離感の判断が難しくなりました。
見える環境には、見える環境なりの難しさがあると実感しました。視覚情報に頼りすぎず、ケーブルの感触という基本に立ち返る重要性を学びました。
装備を理解し、冷静に判断する力
今回の東京での現場を通じて、最も学んだのは、装備を深く理解し、冷静に判断する力の重要性でした。
USBLという装備に期待していた矢先に「外します」と言われた時は、正直驚きました。でも、その判断は正しかった。環境に合わない装備を無理に使うのではなく、潔く外す。その割り切りの良さと、迅速な判断力。
そして、藻が絡まるというアクシデントにも、焦らず冷静に対処する姿勢。
上長のこうした姿勢は、経験と知識に裏打ちされたプロフェッショナルの仕事だと感じました。

これから目指すこと
今回の経験を通じて、機体やアタッチメントへの理解がさらに深まりました。「この装備があれば大丈夫」と思っていても、実際の現場では使えないこともある。逆に、装備がなくても工夫次第で対応できることもある。
装備に頼るのではなく、装備を理解し、使いこなす。そして、必要なら外す判断もできる。
そんなパイロットを目指していきたいと思います。
水中ドローンの現場は、毎回新しい学びがあります。ケーブル管理という自分の役割を確実にこなしながら、今回の現場で学んだことを、次の現場で活かしていきたいと思います。

