スペースワン創業の原点 〜民報サロンに綴った私の5つの想い〜

はじめまして。株式会社スペースワンの代表、小林康宏です。
このたび弊社ウェブサイトをリニューアルするにあたり、私自身もブログを通じて、定期的に活動や考え、そして皆さまに有益な情報を発信していくことにしました。
初回のブログでは、私が2022年9月から12月にかけて執筆した福島民報「民報サロン」第148期での5本の寄稿を振り返りながら、スペースワン創業の背景や、私自身の原体験をご紹介します。

1. ドローンとの出会い 〜 社会課題を解決するテクノロジーとの遭遇

2015年、私はアメリカ・ラスベガスで開催された世界最大級のIT・家電見本市「CES」に参加しました。

4500社以上が出展する巨大な展示会の中で、私の目を引いたのは“空を飛ぶカメラ”であるドローンでした。その自由な動きと映像表現の可能性に心を奪われ、帰国後すぐに自ら購入し、空撮などを始めました。

当時、日本ではまだドローンの法整備も進んでおらず、技術としても黎明期。

「これは新しい時代のインフラになる」――そう確信した私は、ドローンを活用した事業化を進め、空撮や映像制作、人材育成、農業支援など、さまざまな現場での利活用を広げていきました。

また、ドローン講座やプログラミング体験会など、子どもたちへの教育活動にも力を入れています。

未来を担う若い世代に「空を飛ぶ技術の面白さ」と「社会を支える力」を実感してもらうことが、今の私のモチベーションにもなっています。

2. 本県の桃への想い 〜 “販売できない桃”との出会いが教えてくれたこと

スペースワンが通販事業を立ち上げたのは、2011年10月。
震災直後、販売先を失った福島県産品を「ひとつでも多く県内外の方に届けたい」と思い、ECを活用したオンライン販売を始めました。

その中で特に印象に残っているのが、“味には問題ないのに市場に出せない桃”の存在でした。
サイズや色で弾かれた“ふぞろいの桃”を訳あり品として紹介したところ、全国から多くの応援と注文をいただきました。

「福島の桃がこんなに美味しいとは」「毎年これを楽しみにしている」
そんな声が届くたびに、「桃はただの農産物ではなく、福島の元気や魅力を届ける力がある」と実感しました。

今では福島県産品の販売に加え、SNSでの積極的な情報発信にも取り組んでいます。
ふくしまの桃を、誇りとともに、これからも広く伝えていきたいと思っています。

3. 海の新たなテクノロジー 〜 水中にも、見えない課題がある

空に続いて、私が注目したのが「海」です。

水中には人が入りづらい、もしくは入れない場所が数多く存在します。港湾やダム、橋梁、水産施設などの点検・調査においても、従来は手間と危険が伴っていました。

そこで活躍するのが、水中ドローン(ROV)です。

2016年以降、機材の小型化と低価格化が進んだことで、私たちもいち早く導入を進めてきました。

今では漁協や自治体からも引き合いをいただき、港湾点検、養殖施設の調査、水中資源の確認など、実用の幅が広がっています。 海洋国家・日本だからこそ、水中テクノロジーの可能性は無限大。今後は全国へとさらに活用を広げていきたいと考えています。

4. 海外と私 〜 世界を知って、ふくしまの価値を再確認した

私が“外の世界”に目を向けるようになったのは、学生時代にアメリカで過ごした経験が大きなきっかけでした。

カリフォルニア・ロサンゼルスでの約2年間の留学生活では、多様な国籍・宗教・文化に触れ、自分の当たり前が通用しないことに何度も驚かされました。

この経験を通じて「ローカルを知るには、グローバルな視点が必要」だと痛感しました。

それが、スペースワンが「福島から世界へ」というビジョンを掲げている理由です。

現在では、CESなど海外展示会への出展を通じて、福島発の技術を世界に発信する取り組みも加速しています。

5. サッカーと私 〜 仲間と挑戦し続ける力

私の人生で大きな意味を持つもう一つの要素が「サッカー」です。
小中高とサッカー部に所属し、仲間とともにゴールを目指して汗を流してきました。

とりわけ、福島県代表として全国高校サッカー選手権でPK戦に敗れた高校最後の試合は、今も忘れられない思い出です。
しかしその悔しさが、「挑戦することの尊さ」と「仲間と戦う意義」を教えてくれました。

企業経営も、スポーツと同じです。スペースワンというチームで、社員や地域の方々と力を合わせながら、日々挑戦を続けています。

最後に ~ 空、海、地域、そして世界へ。

スペースワンが手がけている事業は多岐にわたりますが、そのすべてに共通しているのは「福島を起点に未来をつくる」という想いです。このブログでは、今後もスタッフの挑戦や現場の取り組み、製品開発の裏側なども発信していきます。
どうぞこれからも、スペースワンをよろしくお願いいたします。