伝えているのに売れない。その理由をコピーライティングから考える。

仕事終わりで何もしたくない日。そんなときに、「出すだけで一食成立する」商品があったら、ちょっと助かりますよね。

こうした“状態”に価値を感じて購入を考えることは、無意識な場合もあれば、明確な目的として選ぶ場合もあり、気が付けば意外と多いのではないでしょうか。

商品ページは、大きく分けると「画像」と「文章(コピー)」で構成され、さらにLP(ランディングページ)では、「語りかける順番」という設計の視点が加わります。
画像は興味を引き、文章は納得を生み、LPは迷わず選べる状態をつくります。
どれも欠かせない要素ですが、いざ「商品ページの文章を改善しよう!」としたとき、立ち止まってしまうことがあります。
その理由の一つは、これらの役割を整理しないまま書き進めてしまい、気づけば製品情報を羅列しただけの文章になってしまうためです。

魅力はそろっているのに、売れない——そんな状況に陥ることも少なくありません。

例えば、見た目はとても美味しそうな画像が並んでいるにもかかわらず、「結局どんな時に欲しい商品なのか」が分からないことがあります。季節なのか、イベントなのか、日々の食卓なのか? 用途が曖昧なままで購入のきっかけは生まれません。。

「欲しくなったら買ってくれるはず。」と、お客様を待っている状態になってはいないでしょうか。そのままでは素通りされてしまいます。せっかくECで売り場があるのなら、必要としている人へ積極的に呼びかけたいところです。

逆に、説明が丁寧であっても、ぱっと見で魅力が伝わらなければ、押し売りのような印象を与えてしまい、読み進める気になれず、ユーザーは途中で離脱してしまうのかもしれません。

ユーザーは商品ではなく“結果”を見ている?

商品ページを見ていると、「何を伝えようとしているのか」が少しぼやけているケースに出会うことがあります。

例えば、
・素材のこだわり
・製法
・産地

といった情報はしっかり書かれているのに、「それで自分にとって何がいいのか」が分かりにくいという状態があります。

もちろんこれらの情報は大切です。
しかし、実際に選ぶ立場になると、「これを使うと、自分の生活がどう変わるのだろう?」という視点で商品を見ていることが少なくありません。

たとえば最初の例でいえば、
・何もしたくない日に食事が成立する
・罪悪感なく済ませられる
・家族にも出しやすい

といった〈使った後の状態〉がイメージできると、商品を選ぶ際の大きな判断材料になります。こうした価値を言葉にして伝えることこそ、コピーライティングの役割と言えるでしょう。

美味しい – 1

コピーライティングが果たす役割

こうした価値を言葉にして伝えることが、コピーライティングの重要な役割の一つと言えるでしょう。単に、「上手い文章を書くこと」ではありません。

商品ページにおけるコピーライティングとは、文章作成にとどまらず、
複数の要素を横断的に組み立てる設計作業に近いものです。
(私はよくつまずきます…)

・商品を正しく理解すること
・読み手の視点に立つこと
・情報を伝える順序を設計すること
・検索からの導線を意識すること
・表現のトーンやルールを整えること

これらを適切に組み合わせることで、はじめて伝わる商品ページが完成します。
逆に曖昧な表現や崩れた文章、表記のブレは不安を生み、離脱につながる可能性があります。商品ページ設計の小さな積み重ねが、CVR(コンバージョン率)に影響しているようにも感じます。

改善のためのシンプルな考え方

実務に落とし込むと、取り組むべきことは決して複雑ではありません。
最低限、次の流れを押さえるだけで、商品ページの精度は大きく向上します

① シーンを置く
→「いつ・どんな時に使うか」を示す。
② ベネフィットを伝える
→「それでどう良くなるか」を明確にする
③ 特徴で裏付ける
→「なぜそれが実現できるか」
④ 用途を明確にする
→「誰がどこで使うか」を具体化する。

この順番を守るだけでも、分かりやすさと納得感は大きく向上します。

なんだか、ペルソナを描き上げる作業に似ていると感じるかもしれません。

実際、コピーライティングとは「誰に向けて書くのか」を明確にすることから始まります。

読み手の状況や悩み、求めている価値を具体的に想像することで、伝えるべき言葉や情報の優先順位が見えてきます。

その結果、商品ページは単なる説明の場ではなく、「自分のための商品だ」と納得してもらうためのコミュニケーションへと変わっていくのです。

情報を足すより、絞る

もう一つ重要なのは、「情報を足すこと」ではなく「絞ること」です。
あれもこれも伝えようとすると、かえって魅力は伝わりにくくなります。

誰に向けた商品なのかが曖昧になり、使う場面もぼんやりしてしまう。結果として、「良さそうだけれど決め手がない」という印象にとどまってしまいます。

だからこそ重要なのは、伝える内容を選ぶこと。
「今回は誰に向けるのか」
「どの使い方を一番伝えるのか」
この二つを明確にし、それ以外を削ることが求められます。

こうした取捨選択を言葉として整理していくことこそ、コピーライティングの役割と言えるのかもしれません。さらに考えてみると、文章には「比較の中で選ばれる理由をつくる」という役割もあります。

言葉が“選ばれる理由”をつくる

似たような商品が並ぶ中で、画像だけでは「なんとなく良さそう」という印象の差にとどまり、決め手にはなりにくいことがあります。

そのような場面で、
・自分の生活のどの場面で使えるのか
・他と比べて何が違うのか
・なぜそれを選ぶ理由になるのか
といった情報が言葉で整理されていれば、「これが自分に合いそうだ」と判断しやすくなります。

特にECでは実物を手に取れない分、文章は購入を後押しする重要な判断材料となります。
本当に伝えるべき価値を見極め、的確に言葉にすること。
それこそが、伝わる商品ページをつくる鍵なのではないでしょうか。

まとめ

産直モールという特性上、事業者の努力や背景を知る身からすれば「できるだけ多くの人に手に取ってほしい」と感じる商品が多いのも事実です。

実際、ふくしま市場でも「誰に届けるか」よりも、「まずは多くの人に知ってほしい」という想いが前に出やすい場面は少なくありません。

その中で、「ターゲットを絞るべきか」「ペルソナを設定するべきか」と考えると、少し迷いが出ることもあります。
あまりに細かくターゲットを切りすぎると、本来届くはずだった人に届かなくなるのではないか、という感覚もどこかにあります。

ただ今回整理してみて感じたのは、「誰にでも届けたい」と「誰にも刺さらない」は紙一重なのかもしれない、ということでした。

ターゲットを絞るというよりは、「どんなシーンで、この商品が一番活きるのか」「どんな人が、その価値を一番強く感じるのか」を一度しっかり言葉にしてみることが、結果的に伝わりやすさにつながるのではないかと感じています。

すべての商品に対して一つの正解があるわけではなく、
・広く見せた方が良い場合
・あえて切り取った方が伝わる場合

それぞれあると思います。その中で、どこに重心を置くのかを考え続けること自体が、商品理解や表現の精度を上げていくプロセスなのかもしれません。

今回の整理を通して、「誰に売るか」を決めること自体が目的ではなく、「どうすればその商品の価値が一番伝わるのか」を考えるための手段として、ターゲットやペルソナがあるのだと、少し捉え方が変わりました。

今後もこのバランスには悩み続けると思いますが、その都度立ち止まりながら、より伝わる形を探っていきたいと思います。