昨年12月、私はある挑戦に関わりました。知人のスタートアップ事業として、TikTokで食品を販売するという話に、福島県産米を「売ってみる」という試みでした。私はコマーサーではなく、視聴者として参加し、コメント欄での質問に回答する遠隔サポーターとして協力をしたのです。
スタート2日間、注文ゼロ。鐘はならない。
注文が入ると鐘を鳴らして盛り上げる!ライブ配信の画面の向こうで懸命に説明を続ける姿を見ながら、 販売の難しさを改めて感じていました。そんな状況の中、私は初めてのTikTokShopで1袋を購入しました。注文通知を見て、画面の向こうに喜びの鐘が鳴り、現場の安堵の表情が広がっていた。初注文の購入者が私だとは、現場は知りません。売上の裏には、挑戦する側の覚悟がある。 その現実を目の当たりにした瞬間でした。
売れなかった理由は、TikTokではなかった
最初の1週間は厳しい状況でした。
※販売していない私が言ってはならない言葉ですがお許しを!
配信を担当していた若いコマーサーの皆さんは、福島のこと、お米のことも、まだ理解の途中。そんなコマーサーのトークは、なかなか心には届きません。しかしその後、彼ら、彼女らに劇的な変化が見られました。福島の背景を学び、 お米の特徴を理解し、自分の言葉で語るようになったのです。毎日、毎日、3時間!本気で向き合い続けてくれました。そして2週間後、目標の200袋が完売した。売れたのは、アルゴリズムだけではありません。成長した「人」がいたからです。

私たちはTikTokを誤解している
この体験を、様々なお取引事業者の皆さまに話すと、9割の方がこう言いました。「TikTokって、若者がダンスしているアプリだよね?」「私も最初は、そう思っていたんです」しかしその認識には、アップデートが必要です。
日本のTikTokユーザーの平均年齢は 40歳前後ともいわれています。ECで日常的に買い物をしている購買層が、すでにそこにいる。Amazonや楽天が「検索」の世界なら TikTokは「発見」の世界。価格比較ではなく、共感とストーリーで購買が動く場所なのです。
ここで、構造を整理します。

それは、アジアでは“当たり前”の販売手法
ライブコマースは、実はアジアではすでに成熟した販売手法です。※ぜひ、昨年8月に行った「タイ視察セミナー」で学んだアジアのEC市場について書いたブログをぜひ読んでいただけると幸いです。
中国版TikTok「Douyin(抖音)」では、ライブ配信を通じた販売が巨大市場を形成しています。たとえば、「口紅王子」と呼ばれるトップインフルエンサーは、独身の日(11月11日)に1日で約1,900億円相当を売り上げ、コメディータッチで人気の配信者は、約6,000億円規模の年間売上を叩いてるとも言われています。化粧品やサプリメントではなく元英語教師が歴史や文化を語りながら販売する“教養系ライブコマース”で年間約1,860億円規模を生み出す事例もあります。単なる安売りではなく、 ストーリーテリングによって商品に付加価値をつける。これがアジアでは「特別」ではなく、ひとつの販売インフラになっているのです。
その波は、すでに世界へ
「それは中国の話だろう」と思われるかもしれません。しかし米国では、失業中の元教師がTikTok Shopのアフィリエイトで1年で約1,000万円以上のコミッションを得た事例、美容師が5日間のライブ配信で1億円超の売上を記録した事例など、一般個人が「コマーサー」として成功する例が増えています。これは偶然ではありません。TikTok Shopというプラットフォームが持つ “構造的な販売力”の結果です。
福島県産品との可能性
福島県産品は、 検索型ECでは比較の対象になりやすい。しかしライブ配信では、「背景」「 生産者の想い」「 挑戦する姿勢」がそのまま伝わる。
今回の200袋完売は、小さな数字かもしれません。しかし私たちにとっては、大きな検証結果でした。「伝え方が変われば、景色が変わる」その可能性を示したからです。

まとめ ~今年の目標は1,000袋
今年度は計画販売として、 1,000袋を目指したいと話しています。ただし目標は数量だけではありません。コマーサーも、生産者も、販売に関わるすべての人に、きちんと利益が行き渡る仕組みをつくること。売ってもらうのではなく、共に育てる販売へつなげたいと思っています。
TikTokは魔法の販路ではありませんが
「学ぶ姿勢」「伝える力」「継続する力」が揃えば、 共感は確実に購買へ変わる。
ライブコマースは、 アジアではすでに当たり前の販売手法。日本でも、その転換点はすぐそこまで来ています。私は、この共感型ECの検証と仕組み化を進め、福島県産品の新たな販路モデルを構築できるのではと考えています。

