アジア海洋が取り組む、”潜水×水中ドローン”の共存スタイル

アジア海洋株式会社 工事部 潜水課 潜水指揮者/西山怜志 さま

海洋土木・潜水工事を中心に、国内外で水中施工・点検を手掛けるアジア海洋株式会社。同社では大型ROVに加え、CHASING M2 PRO/M2 PRO MAXといった水中ドローンも導入し、ダム取水設備の事前確認や潜水作業の安全確保など、現場の最前線で運用を進めています。今回は、潜水士として現場に立ちながら水中ドローンオペレーターも担う西山さんに、導入の背景、CHASINGの優位性、そしてスペースワンの印象などをお話を伺いました。

聞き手:Ooteyama ライター:Ooteyama

普段の業務について教えてください

私は東京湾の石油タンカー荷役施設の保守点検などを主に担当しています。それに加えて、社内で水中ドローンを運用する「水中機器運用部」も兼任していて、現場では「潜る側」と「機械を動かす側」の両方を担っています。

水中ドローンCHASINGに辿り着いた経緯

いま現場は、ダイバーの減少や安全管理の厳格化など、「潜水作業の危険リスクを下げる」方向に進んでいます。人が水中に入る作業は常にリスクが伴いますし、潜水時間にも制約があります。だからこそ、潜水の前段で水中ドローンで状況を確認できるだけでも、安全の確度が大きく上がると感じています。

当社としては、水中ドローン(ROV)の運用自体は新しい話ではありません。1980年代頃からROVを導入し、自社開発に近い取り組みもしてきました。
その流れの中で各メーカーの機体もいろいろ導入してきました。

当社ではインドネシア・シンガポールで石油ガス関連施設や発電所などの点検でCHASINGの運用実績がありました。そこでの実績を踏まえて国内でも導入することとなりました。

“潜水士×水中ドローン”が生む、現場の共存スタイル

実際、水中点検・作業においては水中ドローンの画面越しに見るだけでは分からない感覚があります。構造物への付着物の状況、潮流・濁りの影響、距離感などは、実際に潜った経験があると判断が早くなります。水中ドローンで点検して不具合を見つけたら、最後は人が潜って処置するという流れも多いので、「潜れる人が操縦する」ことで機械と人の連携がスムーズになるのが潜水士の強みでもあると思います。

一方で、まだ潜水でないとできないことはあります。だからこそ、先に水中ドローンで点検して不具合を特定し、必要なところだけを潜水で対応する、という連携が現実的です。

飽和潜水作業 ROV+潜水士の作業
飽和潜水作業 作業場所をROVの照明で照らす

これまでには、大型ROVを使用し、飽和潜水作業下でダイバーの安全確認や、ROVの照明でダイバーの手元を照らしたり、工具の受け渡しを行ったり、水中での動力源を担うなどのサポート的な使い方もしました。人と機械は役割が違うので、置き換えではなく、うまく組み合わせるのが効率的と思っています。

現場での出番が多い活用シーンと、CHASINGの強み

最近よく使うのはダムです。取水口など、潜水士が入る前に「危険がないか」「流れがどうか」を先に確認しています。特に、まず状況を把握したい現場では有効です。深いところでは50m~60mになることもありますが、そういう場所は水中ドローンで先行して確認するケースがあります。最初に水中ドローンで確認しておくことで、潜水作業の安全性と段取りの精度が上がります。

これまで複数メーカーの水中ドローンを触ってきた立場から見ても、CHASINGの強みは操作性だと感じています。これまでの水中ドローンは操縦者の経験と腕で結果に差が出やすいところがありましたが、CHASINGは姿勢制御などのアシストが効いていて、一定以上の品質で点検・撮影がしやすい。現場では「誰が触っても一定以上の結果が出る」ということが大きな価値になります。

結果として、一番稼働しているのが「CHASING」という結果にも繋がっていると思います。

スペースワンを選んだ決め手と、導入後の伴走

スペースワンさんとの出会いは夢の島マリーナで開催されたデモイベントでした。その時点で国内でCHASINGを導入する方針だったのですが機種選定やオプション構成で迷っていたところ、相談に対するレスポンスがとても良かった。「気になることがあり問いかければ、何かしら必ず返ってくる」感覚があり、反応が速いのが決め手でした。当社の技量を見極めて最適な提案してくれたので、適切でスムーズなコミュニケーションもとても助かりました。

導入後も、現場で足りないことが出たとき、単に製品の話だけでなく、運用方法や選択肢まで含めて、解決の糸口を提示してくれるので頼りにしています。海外拠点では現地の代理店経由で購入・相談していましたが、国内で日本語で細かく相談できる安心感はとても大きいです。さらに、オフィスも通える距離なので、機体を車で持ち込んで相談することもあります。また、水中ドローンの世界は展開が早いので、最新情報や次の提案が早い点も印象に残っています。

潜水や海の仕事は外から見ると敷居が高いと思われている分野ですが、水中ドローンを起点としたイベントなどを通じて業界の可能性を発信してくれています。業界の入口を広げる役割としても、スペースワンには期待をしています。

インタビューを終えて
「水中ドローン」という言葉が浸透する前からROVを活用され、いくつもの挑戦をされてきたお話をお伺いできました。潜水士としての現場感覚と、水中ドローンオペレーターとしての判断を併せ持つ視点から語られた言葉は、水中ドローンが「潜水の代替」ではなく「安全と効率を高める相棒」として定着している現状を示していました。お話を伺った京葉ベースでは飽和潜水訓練設備があり、ダイビングベルなどの設備も見学させていただきました。深い水域での作業の過酷さ、安全の確保の大切さを短い時間でも体感することが出来ましたし、そうした業務の手助けとなるよう力になっていきたいと強く思った取材となりました。
企業情報
企業名:アジア海洋株式会社
代表者:代表取締役 柳井 紳太郎
本社:〒104-0042 東京都中央区入船2丁目2番2号 PMO八丁堀V 2階
事業内容:深海潜水作業、海洋土木工事、一点係留ブイ関連工事、ダム改良工事、大深度橋梁下部水中工事、海底配管敷設工事、海底ケーブル敷設工事、水中切断溶接工事
URL:www.owa.co.jp