クリエイティブは特別な人のもの?

はじめに――「クリエイティブ」と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?

「クリエイティブな人」

そう聞いたとき、少し距離を感じたことはありませんか。 どこか自分とは違う世界の人を指しているような、そんな距離感です。

多くの人が「クリエイティブ」と聞いて思い浮かべるのは、 絵が上手な人、発想が豊かな人、センスがある人など。つまり、生まれ持った才能に恵まれた一部の人です。そしてその裏側で、 「自分はそうじゃない」「自分にはセンスがない」 と無意識のうちに思い込んでしまいます。

けれど本当に、クリエイティブは特別な人のものなのでしょうか。

本当に、クリエイティブは特別な人だけのもの?

もし仮に、クリエイティブが一部の才能ある人だけのものだとしたら、私たちの日常はどうなっているでしょうか。毎朝同じ失敗を繰り返し、毎日同じ不便に我慢し続け、 少しも生活が改善されない世界になってしまいます。けれど現実はそうではありません。

私たちは毎日、 「どうすればうまくいくか」 「どうすれば少し楽になるか」を考えながら生きています。それはあまり意識されない行為ですが、実はこの中にこそ「クリエイティブ」の本質があります。

▶たとえば、こんな日常の一コマ…

忙しい朝に限って、玄関の鍵が見つからない。そんな経験は誰にでもあるはずです。そこで、 「鍵は玄関の決まった位置に置こう」 から始まり、他にも「明日の服は前日に決めておこう」、「朝ごはんはすぐ食べられる簡単なものにしよう」などと考え実行していきます。こうした工夫を重ねていくうちに、 朝のバタバタは少しずつ減っていきます。これらは、誰かに褒められるわけでもなく、作品として残るわけでもありません。

それでもこの行動は、 生活を少しでも良くするために考え、形にした行為です。

まぎれもなく、クリエイティブです。

クリエイティブは「ゼロから生み出す」?

「何か新しいことをゼロから生み出すもの」と思うと、クリエイティブは途端にすごく難しいものに感じます。ですが実際のクリエイティブは、ほとんどゼロからは始まりません。

●少し不便だと感じた ●ここが分かりにくい ●もっと良くできるのではないか?

こうした小さな違和感がクリエイティブの始まりになります。そして、その違和感に目を向け、 「じゃあどうする?」と考えること、それがクリエイティブです。

▶仕事の中にも、確かに存在している

クリエイティブは、 アートやデザインの世界だけのものではありません。仕事の中にも、日常的に存在しています。

●相手に伝わりやすいよう、 メールの言葉を書き直す。

●会議がスムーズに進むよう、 資料の順番を考える。

●初めての人でも迷わないよう、 説明の流れを工夫する。これらはすべて、 相手の立場に立って考える行為です。一見そうには思えませんが、 とても実践的で、価値のあるクリエイティブです。

クリエイティブの正体は・・・「思いやり」

ここまで挙げた例に、共通しているものがあります。それは、「誰かのために考えている」という点です。
自分の未来のため、家族のため、 一緒に働く人のため。クリエイティブは、 自己表現よりも前に、 相手を想像することから始まります。
だからこそ、特別な才能がなくても、 誰にでも関わることができるのです。

デザインも、同じ場所から生まれている

デザインというと、 見た目を整えること、 おしゃれにすること、 そう思われがちです。けれど本来のデザインは、下記の3つを考え、形にすることです。

●どうすれば迷わないか ●どうすれば伝わるか ●どうすれば安心できるか

つまりデザインも、 日常にある「小さな工夫」の延長線上にあります。特別な人の特別な行為ではありません。

本当に「センスがない」?

「自分にはセンスがない」そう感じてしまう理由の一つは、「正解が一つしかない」と思い込んでいることです。けれど、クリエイティブに絶対的な正解はありません。相手が、状況が変われば、 最適な答えもその都度変わります。だからこそ必要なのは、生まれ持った感覚よりも「観察すること」、「試してみること」、「振り返ること」この積み重ねです。

まとめ――あなたは、もうクリエイティブ
ここまで読んで、「自分は日々の工夫を実はやっているかも?」と思い当たるのであれば、クリエイティブな行動をしている証拠です。普段の暮らしの中で考え、少しでも良くしようとしているその行為はクリエイティブなのです。
そう考えると、「センスの持った一部の人だけの才能」と思っていたものが、ずっと身近に感じませんか?クリエイティブはみんなが持つ当たり前の力だったのです。