足すことで、伝わらなくなる。
販売企画部の野﨑です。
カタログギフトのリニューアルを進める中で、ひとつ強く感じたことがありました。カタログの1ページを良くしようとすると、つい足したくなる。情報も、魅力も、理由も。 でも、それで良くなった試しが、あまりない気がした。
正しいことほど、積み上がる。
「この商品の魅力も伝えたい」「このこだわりも書いておきたい」「他との違いも説明したい」
どれも間違っていない。むしろ全部正しい。だからこそ厄介で、 気づけば情報はどんどん増えていった。出来上がった原稿は、確かに情報量はある。 でも、どこかぼやけている。自分で読み返してみても、 何が一番伝えたいのかが見えなくなっていた。伝えたいことが多すぎて、 “何も伝わらない”状態になっていた。そこで一度、思い切ってやり方を変えた。
情報を減らす。 言葉を削る。 あえて、説明しない部分をつくる。
最初は 削ることで、その商品の魅力が伝わらなくなるのではないかと思ってしまっていた。でも実際は逆だった。不要な情報がなくなることで、 残った言葉の意味がはっきりしてくる。どこを読めばいいかが分かる。 何が言いたいのかが伝わる。結果として、 “少ない言葉の方が伝わる”状態になった。
今回感じた「引く」という判断は、 AIを使う中でも同じことが言えると思った。AIを使えば、コピーは短時間で作れる。 実際、数分でそれらしい文章は完成する。でも、それがそのまま使えるかというと、そうではなかった。言葉としては成立しているのに、 どこか違う。軽い。しっくりこない。そんな違和感が何度もあった。その違和感を判断していたのは、 AIではなく、自分自身だった。

AIは作れる。でも決められない。
商品を見てきた経験や、事業者とのやり取りの中で積み重ねてきた感覚。 そういったものがあるからこそ、 「この言葉は違う」と止めることができる。AIは「作る」ことはできる。 でも「決める」ことはできない。どの言葉を使うのか。どこを削るのか。この表現でいいのか。その判断は、すべて人間側に委ねられている。うまくいかない時ほど、 人は何かを足そうとする。
施策を増やす。説明を増やす。確認項目を増やす。これらをすることで改善するケースは意外と少ない。むしろ、やることが増えることで判断が鈍り、本来見るべきポイントがぼやけてしまう。そんな時こそ必要なのは、 「何をやらないか」を決めることだと思う。足してダメなら、引いてみる。シンプルだけど、 実際にやるのはかなり難しい。削るには判断が必要になる。そしてその判断には、責任が伴う。だからこそ、そこに仕事の価値があるのだと思う。
で、何が言いたいの?と言われる前に。
このブログを書きながら、ふと自分の仕事を思い返した。うまくいかない時ほど、言葉は長くなる。「で、何が言いたいの?」と言われる場面がある。整理されていれば、要点は短く伝えられる。ブログを書くときも同じだ。伝えたいことが多すぎて長くなるときほど、本当に言いたいことが見えなくなる。だからこそ、自分の言葉もAIの出力と同じように、勇気を持って『引く(削る)』ことから始めたい。
まとめ
今回の見直しで、もうひとつ大きな収穫があった。普段見慣れているはずの自社サイトの紹介文に、違和感に気づけたことだ。事業者の方とも改めてコミュニケーションを取ることができ、結果的には一石二鳥どころか、それ以上の価値があったと感じている。
そしてもうひとつ。説明や紹介文を 「短くする」というのは、実は一番難しい作業だと思う。削ぎ落とすには、その何十倍もの言葉と理解が必要になる。だからこそ、簡単に語れるものではない。AIがある時代だからこそ、人に残る仕事は「見極め、決めること」なのだと感じた。
みなさんの仕事や日常でも、良かれと思って『足し算』ばかりしていませんか?時には大胆に『引く』ことで、本当に届けたい価値が見えてくるかもしれません。

