こんにちは。販売企画部のKatoです。
2026年が始まった!と思ったら、気づけばもう3月。
卒業や異動、新しい生活への準備……。街の空気もどこかソワソワとして、1年の中でも大きな「節目」を感じる季節ですね。
私にとっても、3月は言葉では言い表せないほど特別な月です。
その理由は、2011年3月11日。東日本大震災にあります。
あの日から、15年。
当時高校生だった私は、今、福島県産品の通販サイト「ふくしま市場」の運営に携わっています。日々の仕事の中で、ふとした瞬間に、当時ぼんやりと抱いていた「福島で生きていく」という選択が、今の自分を支えているのだと感じる場面が増えました。
震災から15年という節目に。私が福島で生きていくことを決めたあの頃の記憶と、今、この仕事に込めている想いについて、少しお話しさせてください。
福島で働くことを決めた、私の原点

私の「福島で働きたい」という想いの原点は、故郷である葛尾村(かつらおむら)にあります。
葛尾村は、福島県浜通り地方・双葉郡に位置する、人口約1,200人(2025年時点)の小さな村です。「浜通り」と聞くと海を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、葛尾村は山に囲まれた地域にあります。そのため私は、同じ浜通り出身でありながら、常磐ものやメヒカリ、うにの貝焼きといった海の幸を、大人になるまでほとんど知りませんでした。
自宅から車で10分ほどの隣町には、テレビ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」の企画で知られる「DASH村」がありました。皆さんがテレビの画面越しに見ていたあの里山の風景は、当時の私にとって、疑うことのない「当たり前の日常」だったのです。決して便利な場所ではありませんでしたが、私にとっては、かけがえのない大切な場所です。
しかし、2011年3月11日を境に、その日常は一変しました。
2011年3月11日 ―― 日常が続かなくなった日
葛尾村では地震による直接的な被害は比較的少なかったものの、原発から20〜30km圏内に位置しており、目に見えない不安が村中を覆っていました。国や県からの公式な指示が十分に届かない一方で、さまざまな情報が錯綜する混乱の中にあり、ついに、2011年3月14日、葛尾村は独自の判断で全村避難を決断します。その後、葛尾村では一部の帰還困難区域を除く地域で避難指示が解除されるまでに、約5年もの歳月を要しました。
高校生だった私は、当たり前に続くと思っていた日常が突然失われる恐怖を、この時初めて知りました。それでも当時の私は、まだ「福島で生きていく」ということを深く考えられてはいませんでした。都内の大学進学を目指し、受験勉強に没頭することで、自分が置かれている現実から、懸命に目をそらしていたのだと思います。
「どこから来たの?」という問いに、答えられなかった日
無事に大学生となった私は、ゼミの活動や旅行で海外を訪れる機会に恵まれました。福島から遠く離れ、新しい世界に胸を躍らせていた私に、現地で出会った人々は気さくにこう尋ねてくれました。
「日本のどこから来たの?」
このとき、私はどうしても「福島」と答えることができませんでした。
当時は日本国内でさえ、「福島出身」と言うだけで過剰に気を遣われたり、距離を置かれたりすることがありました。「海外では、もっと違う反応をされるのではないか」という不安が、私の言葉を遮ってしまったのだと思います。
すべてに悪意があるわけではないと分かっています。それでも、故郷の名を伏せてしまった自分に対して、言葉にできない違和感と、深い寂しさが心に残りました。
故郷である福島、そして葛尾で過ごしたあの日々を、恥ずかしいなんて思いたくない。いつかちゃんと、『福島はいいところだ』と胸を張って伝えられる自分になりたい。
この時、逃げ続けてきた自分の心に灯った小さな火が、私のキャリアの原点となりました。
「モノ」が持つ力を信じて ―― 「ふくしま市場」との出会い
大学卒業後、福島県へUターンをし、ホテル業界の道へ進みました。旅行が好きだったこと、県外から訪れる方に福島を好きになってもらいたいという想いで始めた仕事でしたが、2020年のコロナ禍によって、再び自分の歩むべき道を問い直すことになりました。
そんな中で出会ったのが、福島県産品の通販サイト「ふくしま市場」でした。丹精込めて作られた桃や芳醇な香りの日本酒、伝統工芸品の数々。震災以降、風評払拭を目指し、福島で今を力強く生きる生産者さんたちの「モノ」を届ける。その事実こそが、私がかつて海外で伝えられなかった「今の福島」を、何よりも雄弁に語ってくれると感じたのです。
そしてこの仕事は、ずっと心の中にあった「福島を誇りたい」という問いへの、私なりの答えでもありました。

まとめ ―― 3月を迎えるたびに、想いを新たに
現在、私は「ふくしま市場」の運営・販売企画として、生産者さんとお客様を繋ぐ架け橋となるべく奮闘しています。ECサイトの知識も経験もないゼロからのスタートでしたが、生産者さんの想いに触れるたび、「この人たちの商品を、もっと多くの人に届けたい」という気持ちが、私を突き動かしてきました。
お客様から届く「美味しかった」「福島を応援しているよ」という温かい声。その一つひとつが、かつて福島と言えずに俯いていた私に、「福島って、いいところでしょう」と胸を張る勇気をくれています。
あの日から15年。福島は今も歩みを止めることなく、変わり続けています。3月を迎えるたび、失われた日常を思い出し、胸が締め付けられることもあります。ですが同時に、今こうして福島の「おいしい」と「元気」を届ける仕事ができていることに、心から感謝しています。これからも「ふくしま市場」を通じて、全国の皆さまへ福島の誇りを届けてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

