伝える、伝わる、あいうえお

んにちは。営業・企画部のYです。

最近、お客様や事業者さんとやりとりしていて、意外と大変だなと感じるのが「音声だけで正確なやりとりをすること」です。
たとえばお電話注文を受けるとき、お届け先やお客様のお名前、注文商品数、また価格の確認など、間違ってはいけない情報を口頭でお伺いします。
福島県なのでちょーっぴり訛っていらっしゃるお客様ですと、「し」なのか「す」なのか、正確なやりとりだけで何往復もしてしまったり……。
みなさまもお電話の際にお困りかと思いますので、役立ちそうな情報をお届けしたいと思います!

無線通信における50音

音声でやりとりする、といえば無線通信です。無線には「通話表」という、聞き違いを防ぐための50音表があるのです。ひらがなはもちろん、アルファベット、一部の記号も対応していてとっても便利!

和文通話表
朝日のアいろはのイ上野のウ英語のエ大阪のオ
為替のカ切手のキクラブのク景色のケ子供のコ
桜のサ新聞のシスズメのス世界のセそろばんのソ
煙草のタちどりのチつるかめのツ手紙のテ東京のト
名古屋のナ日本のニ沼津のヌねずみのネ野原のノ
はがきのハ飛行機のヒ富士山のフ平和のヘ保険のホ
マッチのマ三笠のミ無線のム明治のメもみじのモ
大和のヤ弓矢のユ吉野のヨ
ラジオのラりんごのリ留守居のルれんげのレ老人のロ
わらびのワ尾張のヲ
おしまいのン

これを使って確認すれば解決です。
……と、言いたいところですが、「為替のカです」って突然言われても「ん?」となりそうな気もします。ルも「るすい」と音で聞いたとき、ピンと来ず混乱してしまいそうな気がします。

アマチュア無線では、一般的であるより似た音の別の言葉の無いことを優先しており、単なる電話口の確認とは前提が違っていそうです。
「香りのカ」は「羽織」「煽り」など、類似の語があり、「カ」である断定ができません。
「川辺のカ」、「留守番のル」、など、聞き馴染みがありつつ、聞き誤らない言葉を探してみるのも良さそうです。

伝える漢字

さて次に、漢字を伝えようとしたときがまあ大変です。現在、文化庁が常用漢字表として発表しているもので2136字。(常用漢字表(平成22年内閣告示第2号/文化庁)
50には収まらない膨大な数の表になってしまいます。
「木へんに~」「くさ冠に~」など、見た目を説明すれば良いものや、例えがパッと出てくるような漢字は良いのですが、日常的には使わなかったり、とっさに表現の出にくそうな漢字で、名前に使われがちなものを超主観で抜粋してみました。

阿波踊り/阿部寛伊予柑江戸
亜細亜(アジア)生物(イキモノ)護衛
くさ冠に倉/蒼井優宇宙岡っ引き
青森県浦島太郎由緒
植物/葵の紋処内外国を治める/手塚治虫
浅い深い色が濃い薄い修行
いろどり杵と臼
さんぼん川草木異邦人
さんずいの河清潔/いさぎよいゆずる
木へんに尾っぽの尾地域の域の右が中にかたい
かしわ餅漢数字の四の中に方角の方憲法
文章の文、の下にハシゴ庄内平野音の鳴る
文章の文、の下に示す大阪必須
なべぶたに刀、下にハシゴ坂道瀬戸内海
なべぶたに刀、下に示す篠笛宗教
長崎県仁義ものを創る創造
立ち崎(タチサキ)しば漬け
谷間丹念ワ冠
親孝行津軽大富豪
隆起する蟻塚北斗七星
崇拝豊かな
永遠奈良県物を納品する
波が穏やかになる沖縄県那覇市乃木坂
桟橋玉木宏深堀する/お堀
羽ばたく藤の花
横浜の難しい方本気
寛大星空
牧場真実おのれ
市町村お宮参りへび年
街路樹くだものが実る市町村
安心吉兆倫理観
悠久依頼

思いつく範囲でならべてみましたが、もっと良い表現がありそうな気もしつつ、類似の語がないように、なるべく短く伝わるように…と練りました。
クニ違いで「国/國/圀」や、タカシも「孝/崇/隆」と様々。サカも「坂/阪」と2種類。
有名人の名前を挙げるのも手ですが、年代が違ったりご存じない可能性も考えると、なるべく汎用的な言葉やモノで表現できた方がよいでしょう。

言葉のストレッチ

前項の表では、見た目にそのまま表現できそうな漢字はなるべく省きました。
たとえば「榊」の漢字は「木へんに神の榊です」で伝わるでしょう。
しかし、私は一度「榊」の字を表に入れました。
見たままを言い表すといっても、とっさに出ないかもしれないと感じたからです。
普段の自分なら出てくる言葉が、とっさの電話では出んわ!ということもあります。
なので、普段から言葉への感度を高めたり、癖をつけてみると良いのではないかな~と提案します。

  • 普段から指示語を減らす
    • 「あれ」「それ」⇒「さっき渡した〇〇の案件の書類」「右手側の引き出し」など
  • 形状説明を言語化してみる
    • 「見かけた雲の形」について、身振り手振りで説明せずに、まずは言葉で「モコモコしてて」「空一杯に広がってて」「夕日があたっていて」と感じた色・形を言語化する練習台にする
  • 類音がないか立ち止まって考える癖をつける
    • 「香り」と「羽織」、「窓」と「角」など日常語でも類音語はあるので、類音の有無を考える癖をつける
  • 相手の「わかった」の確認をする
    • 「ここまで大丈夫でしょうか?」の確認を挟む。最後は通しで確認し、間違いないことを相互に確認しあう癖をつける。

一番最後の項目で誤解は防げそうな気もしますが、ひとつひとつ、出来そうなところから取り入れてみて「できる」の範囲を広げてもらえれば幸いです。

まとめ

已己巳己という四文字熟語があります。

“いこみき”と読み、互いによく似ていることという意味で使われます。第一印象にたがわぬ意味の四字熟語です。
この熟語の伝える通り、漢字は音が同じでも形や意味が全く違ったり、同じ意味なのに全く形が違ったり、複雑すぎて見たままを表現しようにも難しいということが非常に多く、漢字の伝え方を練っている間、漢字の海の広大さを感じました。
このブログ中で、口頭での漢字表現に一定の解決策や共通点、楽になる方法を提示したかったのですが、ながいながい歴史をもつ漢字への敗北宣言で終わろうと思います。
ちなみにこの「ながい」は永遠の永と書く方の「永い」です。