こんにちは。ドローン事業部マネージャーのOHTANIです。
先月、ラスベガスで開催されたCES 2026に出展し、会期中は自社ブース対応と並行して、できる限り会場を歩き回ってきました。
CESはとくにそうですが、会場にいると「世界は今、こんなスピードで新しいものが生まれているのか…」と圧倒されます。プロダクトのジャンルも幅広く、完成度が高いものもあれば、そうでないものもある。ただ、それでもみんな新しいものを持ち込み、見せて、反応を取りにいく。その姿勢自体が、会場全体の熱量になっているように感じます。
その一方で、今回あらためて強く感じたのが、日本企業の存在感の薄さでした。現地で会った日本人の方とも、自然と「中国が韓国など、ほかの国はこれだけ多くの企業が新しい製品を投入しているのに、日本企業は少ないんだろうね…」という話になりました。
似た感覚は、以前ドバイの巨大展示会(GITEX)でもありました。国ごとの熱量の差が、ブースの数や“見せ方”の差としてそのまま表れている感じです。

技術力の差というより、「決め方」の差に見えた
こう書くと「日本はもう技術が弱いのでは?」となりがちですが、個人的には、技術力そのものが海外より極端に劣っているとは、あまり感じません。むしろ会場を歩いていて何度も思ったのは、「やろうと思えば、日本でも作れるんじゃないか」ということです。
では何が違うのか。
私の仮説はシンプルで、「意思決定の仕組み」と「挑戦のハードル」の差です。
海外の企業(少なくともCESに出してくる企業)は、“最初から完璧”を狙っていないように見えます。まず出して、フィードバックを得て、次に直す。打席数を増やして当たりを探す、という感じです。
一方で日本は、新しいことをやるときほど、どうしても「一発必中」になりがちです。
新しい製品は本来、市場も収益性も前例も、最初からはっきりしていないのが普通です。それなのに、社内では当然のように「市場はあるの?」「利益はどのくらい?」「根拠は?」「前例は?」という説明が求められる。
分かります。会社としては当然ですし、私も社内の立場なら聞くと思います、笑。
でも、新製品ほど“そもそも分からない”ものに、分かっている体で説明を求められる。この時点で、挑戦のハードルが一気に上がっているのではないでしょうか。
中国・韓国企業の存在感とスピード
現地で日本人同士の会話でも頻繁に出てきたのが、中国・韓国の存在感です。国としてのブースの出し方も含めて、とにかく数が多い。もちろん背景は一言では言えないですが、少なくとも“挑戦の打席数”が違うように見えます。
それに比べると日本は、挑戦するときの「失敗した場合の扱い」が重い。失敗が許されない、というより、失敗が“減点”になりやすい。すると人も組織も、自然と安全運転になります。繰り返しになりますが、これは気合いとか精神論というより、構造の問題だと思います。
何より良くないと思うのは、その状態が当たり前になると、外のスピードが見えなくなることです。今年のCESでは中国・韓国を中心にヒューマノイドが驚くほど多く出展されていました。もう「犬も歩けばヒューマノイドに」状態です。ただ昨年のCESではヒューマノイドを見ることは少なく、見つけても「ずいぶん人間っぽく歩くなあ」という程度の感想でした。それが今年は、その数もさることながら、動きが信じられないほど進化していました。ダンスする、バク転する、ボクシングする…、もう人の動きと変わりません。そしてその進化が1年も経たずに起こっていることに驚愕しました。
日本企業が社内調整や外部調査などを行い、慎重に安全運転で走っている(それが悪いと言い切れないのが、余計やっかいなのですが…)横を猛スピードで中国・韓国企業が走り抜けているイメージです。

それでも希望はある。むしろ小さい企業のほうが強い
ここまで書くと暗い話になりそうですが、私は「日本はもう無理」とは思っていません。むしろ、動ける企業は動ける。特に中小企業やベンチャーのように、意思決定が軽い組織のほうが、この環境では強いと感じます。CESで印象的だったのは、完成度100点のものだけが評価されているわけではない、ということです。荒くても、新しくても、「お、これは面白い」と思わせた時点で勝負になる。展示会は“売る場所”でもあるけれど、同時に“仮説をぶつける場所”でもある。市場調査を机上で固めてから動くのではなく、出して反応を取って、そこから方向を決める。そのサイクルが回っているように感じました。
日本企業がもう一度打席に立つためには、完璧な説明資料を作る前に、まず外に出して「現場の声」を取りにいく。60点でも出して、反応で80点にしていく。そういう動き方が、実は一番現実的なのかもしれません。
かく言う私たちが出展した水上エンターテインメントドローン「ARIVIA」も製品という意味では、まだまだ開発途上であり、60点にも満たないと思います。それでもCES Innovation Awards® 2026に選出され、評価していただきました。その結果、多くの方がブースを訪れ、さまざまな意見や評価を聞かせてくれます。こうした反応を取り入れながら、ブラッシュアップを図り、少しでも世界を驚かせる製品を作りたいと考えています。

おわりに
繰り返しになりますが、CES2026で感じたのは、日本が完全に負けている、という話よりも、「作れる力があるのに、出てこないのがもったいない」という感覚でした。
技術がないから少ないのではなく、挑戦の通し方が難しいから少ない。そして、その“難しさ”は、気合いで解決するというより、仕組みの問題が大きい。だからこそ、まずは小さくでも外に出してみる。反応を取りにいく。それだけでも、何かが変わるきっかけになるんじゃないか――そんなことを感じたCES出展でした。

