2026年、ドローン制度はどう変わるのか-レベル4・レベル3.5と実装段階に入った日本のドローン

新年、あけましておめでとうございます。
ドローン事業部マネージャーのOHTANIです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ドローンを取り巻く環境は、この数年で大きく変化してきました。2022年末のレベル4飛行解禁、国家資格制度の開始を経て、2025年までは「制度を整え、実証を重ねる期間」だったといえます。そして2026年は、その次の段階に入ります。
制度は“特別なもの”ではなく、“業務の前提条件”として扱われ始める年です。本記事では、新年にあたり、2026年に向けて日本の空のドローン分野で何が変わるのか。とくに制度面に焦点を当てながら、企業や自治体のご担当者様が押さえておきたいポイントを整理します。

理想のレベル4と、現実解としてのレベル3.5

制度は一気に自由化されるのではなく、段階的に現実なものへと進化しています。
2022年末に解禁されたレベル4飛行は、有人地帯で補助者なしの目視外飛行を可能にしました。これによって、制度上はドローン物流なども実施可能となり、ドローンの社会実装に向けて大きく前進しました。しかし実際に上空をドローンが飛行する場面を見た人は少ないと思います。実際の現場では、認証機体の整備状況や関係者調整、安全対策、責任の所在などの課題が残り、すべての業務がすぐにレベル4へ移行できるわけではありません。
そこで制度的に用意されたのが、レベル3.5飛行です。レベル3.5は、無人地帯での目視外飛行を基本としながら、搭載カメラによる確認など一定の条件を満たすことで、道路横断などを可能にする制度です。補助者の常時配置を不要とする一方で、あくまで無人地帯であり、第三者上空の飛行は認めないという、明確な線引きがされています。
2026年に向けて重要なのは、レベル4を目指す業務と、レベル3.5で十分に成立する業務を分けて考えることです。すべてを最上位の制度で考えるのではなく、制度を正しく理解したうえで、現実的な運用を組み立てていくことが求められます。

規制緩和と同時に進む、安全と責任の明確化

制度が緩和される一方で、安全や責任に関する制度は明確に強化されています。

たとえば、重要施設周辺における飛行規制は、これまで以上に厳格になる方向で議論が進んでいます。具体的には、重要施設周辺の飛行禁止区域が、現行の300mから1000mに拡大される見込みです。また昨年の10月以降、落下時の危険性が高い25kgを超える大型ドローンについては、第三者賠償責任保険への加入が義務化され、許可・承認の前提条件となりました。

これらは、ドローンを抑制するための動きではありません。ドローンを社会の中で使い続けるために、「万が一」に備える責任を明確にする制度整備だと言えるでしょう。2026年以降、企業には、飛行可否の判断だけでなく、リスク管理や社内ルール整備まで含めた対応が求められます。

国家資格は「選択肢」ではなく「前提」へ

2025年末をもって、飛行許可申請における審査簡略化など、民間資格に対する優遇措置は終了しました。これにより、制度上は国家資格を中心とした体制へ完全に移行しています。とくに、レベル3.5やレベル4といった高度な飛行を行う場合、国家資格を有する操縦者がいなければ、制度上飛行させることはできません(レベル3.5飛行には、一等または二等の技能証明に加え、目視内飛行の限定解除が必須)。
また、国家資格には3年間の有効期限があり、制度開始当初に取得した操縦者は、2025年末から2026年初めにかけて初回更新を迎えます。更新講習制度も始まっているため、資格者を抱える企業は、計画的な更新管理が必要になります。2026年は、「誰が飛ばすのか」「その体制をどう維持するのか」が、これまで以上に重要になる年です。

飛行申請と運航管理は、個別対応から仕組み化へ

これまでドローン運用の大きな負担となっていたのが、飛行申請の煩雑さでした。この点についても、2026年に制度が大きく動きそうです。
現在、経済産業省が主体となって進めているのが「ドローン航路登録制度」です。この制度は、あらかじめ安全性や周辺環境を確認した飛行ルートを登録し、その航路を前提にドローンを運用できる仕組みです。毎回個別に飛行申請を行う必要がなくなり、業務での運用負担を大きく軽減できる点が特徴です。実際の飛行ルールは、航空法を所管する国土交通省と連携して整理される予定で、ドローンを一時的な実証ではなく、インフラとして使うことを前提とした制度だと言えるでしょう。定常的に同じルートを飛行する業務では、2026年以降、この考え方が運用設計の前提になっていく可能性があります。

産業ごとに異なる、2026年の制度インパクト

ドローン制度の影響は、業界ごとに異なります。

物流分野では、レベル3.5やレベル4、航路登録制度が、事業として成立するかどうかの鍵になります。インフラ点検や測量の分野では、申請負担の軽減や運航効率の向上によって、ドローンが補助的な存在から主力手段へと移行するケースも増えていくでしょう。警備や監視用途では、飛行禁止区域の拡大が運用設計に関わってきます。農業分野では、大型機体に対する保険義務や資格要件が、「誰が運用主体になるのか」をより明確にしていく方向に働きます。

いずれにしても重要なのは、「ドローンが使えるかどうか」ではなく、自分たちの業務に関係する制度が何なのかを正確に把握することです。

最後に
ドローンは、社会を一気に変革する画期的な技術と捉えられることも多いですが、実際は派手に環境を一変させる技術ではありません。制度が少しずつ整い、運用が現場に馴染み、気づけば社会の中に組み込まれていく――そういった技術です。2026年は、その変化がはっきりと見え始める年になるでしょう。
レベル4とレベル3.5の使い分け、飛行禁止区域や保険義務への対応、国家資格を前提とした人材体制、そして航路制度を見据えた運航設計。これらを正しく理解し、自社の業務にどう当てはめるかによって、ドローン活用の広がり方は大きく変わってきます。

「ドローンが使えるかどうか」ではなく、「制度を理解し、ドローンをどう使うのか」。

2026年は、その視点を持てる企業が、確実に一歩先へ進む年になると考えています。
本年も、安全で現実的なドローン活用を、現場とともに支援してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。