小は大を兼ねる!―これからのおいしい選び方「ミニサイズが売れる理由」 ―

先日、日本橋界隈のアンテナショップをいくつか巡ってみて、「あっ!」と思う瞬間があり、あらためて「ミニサイズ」の強さを実感しました。
おひとり様向けの惣菜、一口分のお漬物、手のひらサイズの調味料、日本酒やウィスキーの小瓶…。
さらに翌日の商談会では、2人前仕様のレトルト惣菜に「ハーフサイズ=1人前」という選択肢を提案する場面もありました。
「小は大を兼ねる」──ミニサイズには、これからの販売のヒントがたくさん詰まっていると感じています。

■アンテナショップで目についた「ミニチュア食材たち」

アンテナショップを歩いていると、どうしても目が行くのが「ミニサイズ」「一口サイズ」の商品でした。
おひとり様向けと思われる、小さなお惣菜パック。ちょっとだけ試せる、少量パックの佃煮やお漬物。
並べて置くだけでワクワクする、ミニボトルの醤油やドレッシング、日本酒やウィスキー。
どれも「大きいサイズをどんっと買う前の、“入口の一歩手前”」として、とてもよく機能しているように感じました。
実際、お客様がいくつかの味をまとめて手に取っている様子も多く見かけました。
まずは少しだけ試してみて、「これ、おいしい!」となったら、次は普通サイズ・ギフトサイズへ進んでいく──そんな買い方が、当たり前になりつつあるのだと思います。

■ミニサイズが選ばれる、三つの理由

① 少人数・おひとり様世帯の増加
家族全員で同じものをたっぷり食べる時代から、「それぞれの好みを少しずつ楽しむ」時代へ。
大きなパックを買っても食べきれない、という声は、商談の場でもよく耳にします。ミニサイズなら、必要な分だけ、必要なタイミングで選べます。
「画像の骨なし串干物」は感動の一品でした。そのままで“おつまみ”に。温めて串から外せば“おかず”にもなる!!

② 食品ロスを減らしたい気持ち
「安いから」と大容量を買ってみたものの、食べきれずに処分してしまった経験は、きっと誰にでもあるはず。
少し割高でも、無理なく食べ切れる量を選びたい。そんな“もったいない”意識の高まりも、ミニサイズの追い風になっていると感じます。

③ いろいろ試したい、という“ワクワク感”
ひとつの商品をどんっと買うより、少しずつ違う味を並べて楽しみたい。
とくに調味料や日本酒などは、「まずは一口分でお試し」できることで、挑戦してもらいやすくなります。
売り場としても、ミニサイズを組み合わせることで「選ぶ楽しさ」「並べる楽しさ」を演出できるのが魅力です。

■商談会での気づき:家庭用「2人前」は当たりなのか!?

翌日に参加した商談会でも、「小は大を兼ねる」を象徴するような場面がありました。
ある惣菜メーカーさんのブースには、2人前が基本のレトルト商品が並んでいました。
お話を伺う中で、私は思い切って聞いてみました。
家庭用としては2~3人前が普通かもしれませんが「割高になっても、1人前のハーフサイズは、どうでしょう?」
すると、担当の方から返ってきた言葉は、
「全く考えたことがなかったです。でも、たしかに“1人前ずつ”はありですね。」
というものでした。

家庭用の2人前が「標準」になっていると、その前提を疑うこと自体が難しくなります。でも、今のスーパーやアンテナショップの売り場、そして実際にお客様と接している現場を見ていると、

・食べたい人数分だけ買える
・多すぎないから、無駄にしない
・いろいろな味を試しやすい


という、“ハーフサイズならではの良さ”がはっきりあります。

このメーカーさんも、「すぐに社内で検討してみます」と前向きな反応をくださり、私としてもとても嬉しい出来事でした。

■小は大を兼ねる」から広がる、福島の食の可能性

福島には、魅力的な調味料や惣菜、日本酒がたくさんあります。
ただ、その良さを知らない方にとっては、いきなり通常サイズを買うのは、少し勇気がいるかもしれません。
だからこそ、福島の食を広く知っていただくための入口として、ミニサイズやハーフサイズの商品は、とても相性が良いと感じています。

・まずはアンテナショップやイベントで、お試しサイズを手に取ってもらう
・気に入っていただけたら、ふくしま市場などの通販で通常サイズ・ギフトセットへつなぐ
・ミニボトルや小分けパックを、ギフトや「ちょっとしたお礼」の定番にしていく


そんな流れがつくれたら、福島の生産者さんにとっても、お客様にとっても、きっとプラスになるはずです。

まとめ  ~ミニサイズは「お試し」以上の価値がある~

ミニサイズの商品は、単なる「お試し」用にとどまりません。少人数・おひとり様世帯が増え、食品ロスを減らしたいという意識が高まる中で、“ちょうどいい量”を選べることそのものが価値になっています。
さらに、いくつもの味を並べて楽しめることで、「選ぶ時間」「食べ比べる時間」も、暮らしの楽しみ方のひとつになります。
商談会で、2人前レトルトしかなかったメーカーさんにハーフサイズの提案をしたとき、
「考えたこともなかったけれど、たしかにありですね」という反応をいただきました。
売り手の「当たり前」を、いったん外してみる。そこから、新しいお客様との出会い方が生まれるのだと思います。

「小は大を兼ねる」。

これからも、ミニサイズの可能性を意識しながら、福島の食の魅力をお届けしていきたいと思います。
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