月21日、22日の2日間、中国・北京で開催された「WRC 2026(World Robot Conference/世界ロボット大会)」に行ってきました。WRCを訪れるのは初めてですが、北京も初訪問。(WRCは昨年初開催され、今年が2回目になります。)
これまで私は、CESをはじめ、ヨーロッパ、アメリカ、中国、シンガポールなど、国内外のさまざまな展示会を見てきましたが、今回のWRCは、その中でもかなり衝撃を受けた展示会の一つでした。
というより、私の中では「2015年に初めてCESへ行ったとき」に近い感覚だったかもしれません。

2015年のCESが、ドローン事業の始まりだった
以前のブログでも書きましたが、私が初めてCESを訪れたのは2015年です。
当時の私は、海外のテクノロジー展示会へ行く機会もそれほど多くなく、ラスベガスの会場で世界中の最新技術や製品を見て、とにかく衝撃を受けました。その中で出会ったのがドローンです。
「なぜ、こんなに安定して飛んでいるだろう?」
実際に見て、触れて、可能性を感じたことが、その後スペースワンでドローン事業を始める大きなきっかけになりました。
それから11年。毎年のようにCESへ通い、世界各地の展示会へも足を運ぶようになりました。
当然、昔よりは新しいテクノロジーを見慣れているつもりです。
それでも今回の北京では、久しぶりに、「これは世界が大きく変わるかもしれない」という感覚になりました。


会場の主役は、完全にヒューマノイド
WRCには産業用ロボット、ロボットアーム、四足歩行ロボット、医療、物流など、さまざまなロボットが展示されていますが、今回、圧倒的に目立っていたのがヒューマノイドです。
体感では「100社近くあるんじゃないか?」と思うほど、人型ロボットや具身AIに関係する企業が並んでいました。
歩く、走る、跳ぶ、踊る、物をつかむ、運ぶ、会話する。
少し前までなら、ヒューマノイドが二足歩行しているだけでも「すごい」と感じていたと思います。
しかし、今はもうその段階ではありません。各社が競っているのは、
「何ができるのか」
「どこで使えるのか」
「人の仕事をどこまで代替できるのか」
という、もう一つ先のステージです。
工場で働くロボット、商品を運ぶロボット、掃除をするロボット、接客するロボット、料理をするロボット。
未来のコンセプトを見ているというより、「実際にどこへ導入するか」というフェーズに入り始めているように感じました。



AIが「頭脳」を持ち、ロボットが「身体」を持つ
ここ数年、ChatGPTをはじめとする生成AIが一気に進化しました。AIが文章を書き、画像を作り、プログラムを書き、人間と自然に会話する。知能の部分だけを見れば、すでに人間よりAIのほうが得意な分野もたくさんあります。
そして今回WRCを見て感じたのは、そのAIが今度は「身体」を手に入れ始めているということです。
AIという頭脳と、ヒューマノイドという身体。この二つが一緒になったらどうなるのか。さらに、運動能力についても、人間ではできないような動きがどんどん実現されていく。
そう考えると、少し怖いくらいです(笑)。
昔、SF映画で見ていた世界が、本当に現実になっていく。まさに「SFの世界まっしぐら」という感じでした。


それにしても、人、人、人……
もう一つ驚いたのが、人の多さです。とにかく混んでいました。
通路を普通に歩くことすら大変で、人気ブースの周辺では立ち止まることも難しい。
これまで世界中のいろいろな展示会へ行っていますが、ここまで人で混み合っている展示会は、個人的には初めてだったと思います。
そして会場で印象的だったのが、親子連れの多さです。
子どもたちがヒューマノイドを間近で見て、ロボットと触れ合い、楽しそうに写真を撮っている。
これはすごく良いことだと思いました。
小さい頃から当たり前のように最新のテクノロジーに触れている子どもたちと、大人になってから初めて触れる人とでは、テクノロジーに対する距離感はまったく違うはずです。
日本でも、もっと子どもたちが最先端の技術に直接触れる場所や機会が増えたらいいと思います。
「ロボットは特別なもの」ではなく、「身近にあるもの」として育つ世代。
その子どもたちが10年後、20年後にどんなものを作るのか。
会場を歩きながら、そんなことも考えさせられました。



展示会を見ると、その国がどこへ向かっているのかが分かる
今回もう一つ感じたのが、中国のヒューマノイド業界の「勢力図」です。企業のブースの大きさ、配置、来場者の数、展示されている製品、デモンストレーション。
会場を一周するだけでも、「この会社はいま勢いがあるんだな」「この分野に相当投資しているんだな」ということが何となく見えてきます。
インターネットで情報を見るだけでは、なかなか分かりません。だから私は、展示会にはできるだけ実際に足を運ぶようにしています。
現場へ行って、自分の目で見る。製品に触れる。担当者と話す。周囲のお客さんの反応を見る。
そこから得られる情報量は、ネットの記事を何十本読むより多いことがあります。2015年のCESでドローンと出会えたのも、結局は現地へ行ったからでした。
10年以内に「一家に1台」になるかもしれない
今回、たくさんのヒューマノイドを見ながら、一つかなり強く感じたことがあります。私は、10年以内にヒューマノイドが「一家に1台」という時代が来ても、それほど不思議ではないと思っています。
今の段階では、「そんなロボット、家に必要?」と思う人も多いでしょう。
でも、スマートフォンだって、登場した当初に今の使われ方をすべて予想できた人はほとんどいなかったはずです。
掃除、洗濯、料理、片付け、荷物運び、家族の見守り。
これらを一台のロボットがある程度こなせるようになり、価格も下がってくれば、一気に普及する可能性があります。
おそらく重要なのは、「人型ロボットが普及するかどうか」ではなく、「いつ普及するのか」なのではないでしょうか。
もちろん10年後に私の予想が大外れしている可能性もあります(笑)。
でも今回のWRCを見ていると、その未来は想像していた以上に近いところまで来ているように感じました。
2027年も北京へ
今回、初訪問のWRCですが、来年も必ず見に来る必要があると感じました。これだけ変化の速い分野では、1年経っただけでも景色がまったく変わっている可能性があります。
2027年も、おそらくお盆明けの時期に開催されると思うので、今のうちから予定を空けておこうと思います。
2015年にCESへ行かなければ、スペースワンがドローン事業を始めていなかったかもしれません。
今回のWRCが、この先の私やスペースワンにどんな影響を与えるのか。それはまだ分かりません。
ただ、新しいことを始めるきっかけは、いつも「まず自分の目で見ること」から始まる。
今回あらためて、そう感じました。2027年、一緒にWRCへ行ってみたい方がいましたら、ぜひ声をかけてください。
私は来年も、北京(WRC)に訪問しこの一年でどのように変化したのかを見てきたいと思います。
おまけ ~動画と写真でWRCの雰囲気をお楽しみください




































