教えることと、伝えること ── 講師1年目の気づき

こんにちは、ドローン事業部の市川です。

私は普段、福島県の本社に在籍し、福島ドローンスクールの講師として講習に対応しています。入社からおよそ1年が経ち、最近は講習を担当する機会が増え、回数を重ねるごとに、正しく伝えることの難しさを実感しています。今回は、対照的な2つのコースを通じて気づいたことや、講師として意識するようになったことをお伝えします。 

2つのコース、それぞれの難しさ

先月・今月と、企業単位でまとめて受講されるケースが続きました。どちらも二等無人航空機操縦士の国家資格取得を目指した受講でしたが、コースの構造が大きく異なりました。

1社目は初学者コース。ドローン初心者が国家資格を直接目指すコースで、国が定めた規定時間の中で進めるカリキュラムです。時間がかなりタイトで、試験に必要な知識はもちろん、取得後の実際の運用で大切なことまで伝え切るのは、正直なところ非常に難しいと感じました。限られた時間の中で何を優先し、どう届けるか。自分の中で答えが出ないまま終わってしまう部分もあり、課題として残り続けています。

2社目はステップアップ講習+経験者コース。こちらはまず、スペースワン独自のステップアップ講習を受講するところから始まります。このステップアップ講習は初心者が経験者へと基礎を固めるための講習で、運用上の重要なポイントや基礎的な操縦技術をじっくりと習得できます。このステップアップ講習を受けることで、初学者ではなく経験者として国家資格の講習を受講できる流れです。私自身も講習全体の「尺感」が掴めているため、必要なことを伝え切れたという手応えがありました。同じ二等無人航空機操縦士を目指す講習でも、入り口の違いがこれほど影響するのかと、改めて感じた機会でした。

受講生がつまずきやすいポイント

受講生の様子を見ていると、コースの種類に関わらず、共通してつまずきやすいポイントがあることに気づきます。大きく分けると、座学と実技それぞれに傾向があります。

座学については、私が対応したステップアップ講習の中での話になりますが、法律関係に躓く方が多い印象です。

ドローンに関連する法律は複数にまたがっており、条件や例外も多いため、整理しながら理解するのに時間がかかります。

自分自身が受講生だった頃を振り返ると、同じところで引っかかっていた記憶があり、だからこそ「どう整理して伝えるか」はいつも考えるポイントになっています。

実技は両コースで対応しましたが、共通して複合操縦がひとつの壁になります。

右手と左手を同時に、それぞれ異なる動きで操作する必要があり、最初はどちらかに意識が引っ張られてしまいがちです。「手が追いつかない」ではなく「頭が追いつかない」という感覚に近く、反復の中で少しずつ体に馴染ませていくしかありません。

つまずいている受講生を見るたびに、説明の仕方をもう少し工夫できないかと考えさせられます。

「伝える」ために意識するようになったこと

講習を重ねる中で、自分の中に少しずつ軸ができてきたと感じています。意識していることは、大きく分けて「正確に伝えること」と「伝え方の構成」の2つです。「正確に伝えること」は講師として言わずもがなですが、「伝え方の構成」については、日常的に意識するようになったきっかけがあります。それは、上司たちからもらった言葉です。

部長からは「全体像から徐々にフォーカスを当てるように説明しないと、全体像が伝わらない説明は定着しないし、理解しにくい」と言われました。直属の上司からは「ストーリーのように流れで説明しないと、途切れ途切れの説明では受講生により興味を持って聞いてもらえない」という言葉をもらいました。

この2つは、講習前に資料に目を通しながら「この順序で説明しよう」と組み立てる際の、大切な判断軸になっています。まず全体像を示してから、細かい内容へと順に入っていく。そして、その流れがひとつのストーリーとして繋がるように構成する。言葉にすると単純ですが、実践するのは簡単ではなく、毎回の講習で少しずつ精度を上げている感覚です。

実技指導では、解説よりも実践時間の確保を意識するようになりました。気をつけるポイントの解説は当然必要ですが、解説に時間をかけすぎて操縦時間が削られてしまっては、上達につながりません。

これからやることのイメージを短くしっかり持ってもらってから、実際に操縦してもらう時間をできるだけ多く取る。

「分かった気になる」より「やってみて体で覚える」を大切にしたいと思うようになったのは、自分自身が操縦を覚えてきた過程を思い出したからかもしれません。

まとめ

入社1年を経て、講師として「伝える難しさ」と正面から向き合うようになってきました。今回の2つのコースを通じて、コースの構造や入り口の違いが受講生の理解度に大きく影響することを実感しましたし、自分の説明や時間の使い方にまだまだ改善の余地があるとも感じています。

受講生がつまずくポイントは毎回似ていても、一人ひとりの理解の仕方や操縦の感覚は異なります。正確な情報を届けながら、実践の時間をしっかり確保する。そのバランスを意識しながら、これからも講習のたびに自分自身もアップデートしていきたいと思います。