生産者訪問というきっかけ
昨年11月、「福島県産品」や「ふくしまの魅力」をSNSで発信いただく、ふくしま市場公式アンバサダーの皆さんと、生産者訪問へ行ってきました。
「生産現場を見てみたい」
「つくり手の声を直接聞きたい」
そんなアンバサダーの皆さんの想いに応えるかたちで、福島県中通り南部に位置する天栄村へ生産者訪問ツアーを企画しました。
酒粕を食べて育つ新ブランド牛「福粕花(ふくはっか)」を手がける池田農場、そして“世界一の米”とも称される「ゆうだい21」を育てる吉成農園を訪ねました。


書き始めて、手が止まった理由
訪問ツアーを終え、帰ってから記事を書き始めたとき、思っていた以上に手が止まりました。
事前に記事の構成を考え、質問も用意して取材に臨みました。
けれど実際に現地で見聞きした情報量は想像以上で、生産者の皆さんの熱量に圧倒されました。
黒毛和牛からブランド牛「福粕花」を育てる日々の手間や工夫、米づくりに向き合う姿勢――
それらは事前に調べて理解していたつもりのものとは違い、現地で体験して初めて実感できるものでした。
多くの人の努力がつながって、私たちの「おいしい」が成り立っている。
そう感じたからこそ、伝えたいことが多すぎて、迷いが生まれたのだと思います。

正確なのに、伝わらない気がする
特に悩んだのが、池田農場で育てられている黒毛和牛についての一文です。
約2年かけて丁寧に育てられた「福島牛」の中から選抜され、酒粕を90日間与えて育て、肉質等級5等級となったものが「福粕花」となります。
そして、その認定率が“9割”に達するという点でした。
最初に書いた文章では、現地で教えていただいたA5等級や認定率といった数字や基準を、できるだけ正確に伝えようとしました。
けれど書き終えて読み返したとき、自分でも内容がすっと入ってこない感覚がありました。
福島牛、格付け、選抜、ブランド認定――
一つひとつは事実でも、それを一文に詰め込んだ途端、かえって伝わらなくなってしまっていたのです。
正確に書いているはずなのに、読み手の頭の中には情景が浮かばない。
その違和感が、今回いちばん悩んだところでした。
読者が知りたいこと
読者は、牛の格付制度を知りたいわけではありません。 (知りたい方もいるかもしれませんが…笑)
生産者がどれほどの手間と時間をかけ、どれほどの品質にたどり着いているのかを知りたいのだと整理し、最終的に難しい説明は避けました。
記事において、文章は思ったことを並べるのではなく、事実と読み手の理解をつなぐことなのだと感じました。
誰の話を書いているのか。
誰がそれを読むのか。
それを考え続けながら書く時間が、いちばん長かったように思います。

「伝える」と「伝わる」の違い
日々、誰かに向けて発信している文章も、ただ情報を並べるだけでは届きません。
何を伝えるかだけでなく、どう伝えれば相手が受け取れるのかを考え続けること。
その積み重ねの先に、ようやく「伝わる」があるのだと思います。
ただ説明をするのではなく、つくり手の背景まで一緒に届く、そんな「伝わる」発信をしていきたいと思います。

