「おいしい」だけじゃ伝わらない。味の言語化に挑戦中!

こんにちは、販売企画部のKatoです。

福島県産品の通販サイトを運営していると、日々さまざまな食品やお酒に触れる機会があります。「福島って、本当においしいものが多いなぁ」と感動する一方で、いつもモヤモヤすることがあります。それは、そのおいしさをうまく言葉にできないということです。

通販という”文字で届ける”仕事をしている以上、どうすればもっと魅力的に伝えられるのか。まだ勉強中の身ではありますが、いま学んでいることを共有できればと思います。

味の構成要素の基本を知る

まず大切なのは、味というのは「甘い/酸っぱい」だけで語れる単純なものではないということです。実際の味わいは、複数の感覚が重なり合って成立しています。

味の五要素甘味・酸味・塩味・苦味・旨味
嗅覚口に含んだ瞬間に広がる香りは、味の印象に大きく影響します。
花・新芽の香り、海苔の青さ、磯の風味、金属臭など、鼻で感じる情報は驚くほど多様です。
触覚固さ・柔らかさ、粘り気、舌触り、歯触り、口どけ、のど越し。
コーヒーやワインなどを口に含んだ瞬間に感じる「質感」や「口当たり」も重要な要素です。
温感冷たさや温かさ、ひんやり、じんわりなど、温度のニュアンスも味の印象を左右します。
視覚見た目・形・色・光沢。食べ物の「最初の印象」は目が決めており、それが味覚を先導しているとも言われています。

こうして味わいを多角的に捉えると、「おいしい」という漠然とした感覚が少しずつ言葉になっていきます。

たとえばウイスキーを飲んだとき、単に「甘い」ではなく香りの感想を加えるだけでも印象が変わります。「バニラのような甘さが立ち上がり、後からふわっと樽の香りが重なる。最後に柑橘の爽やかさが抜けていく」と表現できるだけで、伝わる情報の密度は一気に高まります。

伝わる表現のコツは「比喩」「シーン」「時間軸」

味を言語化するうえで、特に役立つと感じたのがこの3つのアプローチです。

① 比喩で伝える

「青りんごのような」「バニラみたいに」「焦がしたキャラメルの香り」など、身近な香りや食べ物に例えることで、相手の頭の中に“味のイメージ”が浮かびます。

② シーンで伝える

「休日の昼下がりにゆっくり」「仕事終わりにリフレッシュしたいとき」など、味そのものではなく、その味を楽しむ時間を描くことで共感が生まれます。

③ 時系列で描く

「最初に甘み、次にスパイス、最後にほろ苦さ」といった“味の流れ”を描くことで、より立体的な表現になります。

これらは決して専門家だけの技術ではなく、日常の食レポや商品説明にもそのまま応用できます。

味を言葉にすると、自分の好みまでクリアになる

味を細かく分析しようとすると、自分の味覚のクセがくっきり見えるようになります。
「私は香りの甘さが強いものを好むんだ」
「余韻の長いお酒はゆっくり飲みたい夜に向いている」

今までは “なんとなく好き” で選んでいたものが、 “理由があって好き” と理解できるようになるのです。 これは仕事だけでなく、普段の買い物でも役立つちょっとした副産物でした。

好きなウイスキーを探し中(写真:笹の川酒造ウイスキー)
まとめ:言葉があると、味わいはもっと豊かになる
味の言語化は、終わりのない探求です。日々「まだうまく言えないな」と感じることも多いのですが、言葉を意識するだけで、同じひと口が驚くほど豊かに感じられるようになります。ただの「美味しい」で終わらせていた料理にも、香りや質感、余韻など、たくさんの要素が潜んでいます。
たとえば福島の日本酒なら「米の甘みがやわらかく広がり、後口はすっきりキレがいい」、桃なら「果汁がしたたるジューシーさと、上品な甘さの余韻」など、具体的に伝えることで、画面の向こうにいる方にもその味わいが届くはずです。そして、その感覚を言葉として誰かに届けられたとき、その人が新しい「福島のおいしい体験」に出会うきっかけになるかもしれません。みなさんも日々の食事で、ぜひ味を言葉にしてみてください。私もみなさんに少しでも福島県産品の魅力をお伝えできるよう精進してまいります!