伝える・聞き取る・察する ― 営業の現場で感じる「言葉にならない力」

営業・企画部の吉田です!
営業の仕事というと、「話すのが上手な人」「説明が得意な人」というイメージを持たれることが多いかもしれません。けれど、実際に現場でお客様や関係先の方々と向き合っていると、「伝える」よりも「聞き取る」こと、そして「察する」ことの方が大切だと感じる場面がたくさんあります。言葉を交わす仕事だからこそ、言葉にならない思いをどう受け取るか。
今日はそんな、営業の現場で感じた“伝える・聞き取る・察する”という3つの力についてお話ししたいと思います。

1.「伝える」は、“押しつけない勇気”

良い商品やサービスを扱っていると、その魅力をどうしても全力で伝えたくなります。でも、こちらが良いと思うことを一方的に押し出してしまうと、相手の心には届かないこともあります。
「伝える」とは、“自分が話したいことを話す”ではなく、“相手が受け取りやすい形で届ける”ことだと思うのです。たとえば、地元の生産者さんが丹精込めて作った商品を紹介するとき。「新鮮です」「おいしいです」と説明するよりも、「朝4時から漁港で準備している方々がいるんです」と背景を添えるだけで、伝わり方が変わります。
まさに営業の言葉は、情報ではなく“橋渡し”です。

2. 「聞き取る」は、“言葉の裏にある背景を感じること”

商談や打ち合わせの中で、相手が「予算が厳しくて」と口にしたとき。それは本当に“金額”の問題なのか、それとも“社内の優先順位”や“時期”の問題なのか。言葉の奥にある事情や思いを聞き取る力が大切です。
「聞く」というのは、ただ耳を傾けることではなく、相手の立場や状況を想像すること。相手が今、何に悩んでいるのか。何を大事にしているのか。そこを丁寧に拾い上げることで、ようやく“本当に必要な提案”が見えてきます。
会話の中に出てこないキーワードを感じ取るのも、営業の大切な仕事のひとつです。

3. 「察する」は、“沈黙や間を読む力”

営業をしていると、話し合いの中でふと生まれる「間」があります。その沈黙の時間にこそ、相手の気持ちや考えが表れていることがあります。
少し視線をそらしたり、メールの返信がいつもより遅かったり。そんな小さな変化の中に、今の温度感や迷いを感じ取ることができます。
察する力は、経験を積むほどに磨かれる“感性”のようなものだと思います。言葉にされなくても「この人は、きっとこう考えているんだろうな」と感じ取れるようになると、提案ややり取りがぐっとスムーズになります。そして、相手から「あなたに任せたい」と言われたとき、言葉以上の信頼が生まれる気がします。

4. 「察しきれなかった」反省の日々

もちろん、最初から上手くいったわけではありません。
過去には、相手の沈黙の意味を取り違えてしまい、後から「もう少し丁寧に聞くべきだった」と痛感したこともあります。相手が何も言わなかったから「納得してくれた」と思い込み、企画を進めてしまった結果、方向性がずれてしまったこともありました。その時に気づいたのは、沈黙=同意ではないということ。むしろ、「言葉にできない迷い」があるサインなんだと学びました。悔しくて泣いた日も。。。。それ以来、静かな時間こそ大切にしよう、と思うようになりました。
相手の立場で考え、少しでも心の中を想像しながら言葉を選ぶ――それが、今の私の営業スタイルの原点になっています。

5. スペースワンで営業を続けてきた理由

振り返れば数々の失敗談が山のようにありますが、それでもスペースワンで営業の仕事を続けてこられたのは、周りの仲間やお客様、そして地域の方々から本当に多くを学ばせてもらってきたからです。イベントや商談の現場では、毎回出会いがあり、毎回違うドラマがあります。
「伝える」「聞き取る」「察する」その積み重ねの中で、少しずつ自分の営業の形ができてきたように思います。

まとめ
営業という仕事は、商品を売ることが目的のように見えて、実は“人と人との信頼を積み重ねること”なのです。上手く伝えられない日もありますし、相手の気持ちを汲み取れず反省することもあります。でも、そのたびに学びがあり、少しずつ「伝える・聞き取る・察する」の精度が上がっていくのを感じます。
誰かの想いを、誰かに届ける。そのために言葉を選び、表情を見て、空気を読む。営業は“話す仕事”ではなく、“感じ取る仕事”なのかもしれません。これからも、相手の心に届く伝え方を探し続けて行きます!