
サワッディーカー(สวัสดีค่ะ)
(過去2回のタイ視察レポートをご覧担っていない方はまずはこちら →第1回 →第2回)
販売企画部の野﨑です。本日2日目はタイで急成長している化粧品メーカー VEGA(ベガ)へ。スタートは小さな工場でしたが、今では 月に約900万個もの製品を生み出す ビッグカンパニーに成長。日本での体験は難しい工場の内部も見せていただきました♪
Day2-① VEGA 化粧品工場で学ぶ“現地完結”の強さ
タイの女性にとって「美白=きれいになりたい」という願いはとても強く、VEGAもそのニーズに応えるスキンケアや基礎化粧品をたくさん展開しています。しかも、人気女優さんやインフルエンサーとのコラボ商品も手掛けていて、その販売力と話題性は想像以上!
1.タイ女性の美意識に寄り添う商品づくり
印象的だったのは、タイにおける「美白ニーズ」の強さです。
日差しの強い国だからこそ、「白くなりたい」という願いが消費者心理の中心にあります。VEGAはその需要を的確にとらえ、美白系スキンケアを中心にラインナップを展開。さらに、タイの人気女優やインフルエンサーとのコラボ商品も多く手掛け、単なる化粧品ではなく「憧れ」を一緒に届けていました。
2.VEGAはブランドパートナーになるという存在
VEGAの大きな特徴は「製造するだけの工場」ではないこと。
パッケージデザイン~マーケティング企画~法規制対応までワンストップで支えてくれるんです。つまり、自社ブランドを持たない事業者でも、VEGAと組めば「商品企画から販路拡大まで」を一気に進められる仕組みになっています。
3.販売チャネルの幅広さ
販路展開も徹底していて、Shopee・Lazada・TikTokといった主要ECモールはもちろん、タイ全土にあるセブンイレブンにも製品が並んでいます。ECのスピード感と、リアル店舗の信頼感を両立させることで、生活者に“当たり前の存在”として受け入れられているのです。
4.工場の中は「徹底した清潔さ」
白衣に身を包んだスタッフが黙々と作業を進め、整然としたラインからは次々とボトルが流れ出てきます。
「工場見学=堅苦しい説明」かと思いきや、VEGAのスタッフさんはとてもフレンドリーで、「実際に試してみてください」とサンプルを手渡してくれました。クリームを手に塗ってみると、伸びの良さと軽やかさに感心。これなら毎日気軽に使えると実感しました。
その他、身体の中からキレイを作るドリンクやサプリ、グミ等も作っています。
〈ワタシ視点〉
・品質と安全性は大前提
・現地ニーズに応じた商品企画(美白ニーズのように“必須テーマ”を外さない)
・有名人・インフルエンサーとの協業で“憧れの文脈”を作る
・オンラインとオフラインを両輪で展開する
これらは福島県産品を海外に届ける際にも大切なポイントだと強く感じました。
「化粧品」というカテゴリーは一見、農産物や食品とは遠いように見えます。けれど“安全性”と“ストーリー”を掛け合わせて市場に届けるという点では、福島の桃やお米、日本酒とも共通する部分があるのではないでしょうか。VEGAの工場で見た“トータルで寄り添う仕組み”は、今後の福島の販路拡大にも大きなヒントになると感じました。


Day2-② FOOTBALL THAI に見るスポーツと地域の絆
1952年創業の FOOTBALL THAI(FBT) は、タイを代表する老舗スポーツ用品メーカー。サッカー用品を中心に、ユニフォーム・トレーニングウェア・アクセサリーまで幅広く手がけ、タイ国内300以上の店舗を展開しています。まさに“タイの部活世代を支えるブランド”といった存在感でした。
今回案内してくれたのは、創業者のお孫さんにあたる30代女性の責任者。歴史ある企業を受け継ぎながら、新しい世代の感覚を取り入れた舵取りが印象的でした。
1.地域に根ざした活動
FOOTBALL THAIの強みは、単にスポーツ用品を作って販売するだけではありません。サッカー協会や地域リーグのスポンサー活動、子どもたちへのユニフォームや用具提供など、「スポーツを楽しむ環境そのものを育てる」取り組みを続けている点です。商品と文化を同時に育む取り組みには、共感せずにいられませんでした。
2. 工場も売場もジムも、自社ビルの中に!
今回案内いただいた自社ビルには、工場・直営売場・トレーニングジムまで併設。製造から販売、体験までを一気通貫で見せてくれる施設はまるで“スポーツのテーマパーク”のようでした。地域の子どもたちが通う姿も目に浮かび、まさに「地元に根ざしたブランド」という印象です。
3. 販路について
FBTは40か国以上に輸出実績があり、国際的なスポーツイベントのスポンサーも務めています。とはいえ、現地での肌感覚としては「海外輸出よりも国内ブランドとしての基盤づくりを大事にしている」印象が強く、グローバル化を声高に語るよりも、まずは地域密着で確かな信頼を築いているように見えました。また、大手ブランドの「アディダス・タイ」としての一面を持ちながら、FBTは“タイらしいアイデンティティ”を打ち出し、スポーツを“次の世代につなぐ”という使命感が、印象に残る視察となりました。



Day2-③ Thanawat Industrial 食品卸業者のリアル
ここでは、日本ブランドがタイ市場でどのように受け止められているのかをリアルに感じることができました。
1.日本ブランド=「品質の信頼」
「日本の食品は品質が高い」――この信頼感は今も健在。
ただし、扱われている商品を見てみると、実際には タイ国内工場で製造された日本ブランド品 が多いのが現状でした。
グリコ、味の素といった大手ブランドは、すでに現地生産が根付いており、輸入品はむしろ少数派。 唯一、酒類などは日本から直接輸入されているそうです。

2.卸売から小売まで広がる販路
Thanawat Industrial の取引先は 約300社。
スーパー(ロータス、ワットソンなど)だけでなく、Shopee・Lazada・TikTokといったECチャネルにも商品を流通させています。オフラインとオンラインの両方で日本ブランドが存在感を持つことが、消費者の購買を後押ししているとのこと。
特にタイ消費者は 「試食」「サンプル」 が大好き。LINE登録とセットで配布されるキャンペーンなどは反応が良く、店頭販促とデジタルの組み合わせが成功の鍵になっているそうです。
3.日本 vs 韓国ブランドの構図強く感じたのは、韓国ブランドの積極性。
韓国メーカーは卸や小売へのアプローチが非常に活発で、存在感をどんどん高めています。一方、日本企業からの働きかけはまだ限定的との印象。
消費者にとっては「新しさ」「ユニークさ」が重要な判断基準であり、例えば 犬猫用の歯磨きスナック といった新奇性ある商品は強い関心を集めました。「見たことがない!」という驚きこそが、次の購買につながるのだと実感しました。
4.輸入コストと現地生産のバランス
タイ市場への輸入は関税や規制の壁が大きく、特に酒類は200〜300%の関税が課せられるほど。そのため多くのブランドは、現地OEMや提携工場での生産へと舵を切っています。成功事例では、まず小ロットで輸入 → 市場での反応を確認 → 現地工場での生産に移行 → ASEAN全域へ拡大、というステップを踏んでいました。


5.持ち込んだ福島県産品
生鮮果物はタイでも豊富にあるため、単純に桃やリンゴを輸出しても差別化は難しい。
しかし、加工品(ドライフルーツ・ジャム・菓子など) や 「福島限定」や「地域ストーリー」をまとった日本酒 なら、十分に勝機があると感じました。
特に、タイの消費者は「安心・品質」に加えて「語れるストーリー」に惹かれます。
店頭試食やインフルエンサーとのコラボ、LINEを使ったサンプリングなど、“体験型PR”の仕掛け が不可欠になりそうです。
糀製品は、タイではまだまだ浸透されておりませんが、健康志向が高いことから、これから期待ができる要素がありました。「あまざけ」=ノンアルコールということもご存知でした知られていました。
今回の訪問先では若桃の甘露煮、コンポートにおいての反応は少なかったが、今後も機会があれば推していきたい商品です。
どうしても、日本からの輸入商品には関税がかかるため、消費者は和食店(高級)に集中することから気軽な仕入れが難しいということでした。また、ここでもBtoBだけでなく、BtoCへ販路を広げているというお話がありました。

「ワタシ視点」
Thanawat Industrial さんとの対話で感じたのは、
「日本ブランドの信頼はまだ強い、でも攻め方を間違えると韓国に持っていかれる」 というリアルな危機感でした。
福島からも小さな一歩でいい。まずはサンプルを試してもらい、声を拾いながら現地仕様に寄せていく。
そうした着実な積み重ねが、タイ市場での突破口になると強く思いました。
Day2-④ 日本博バンコク
2025年はクイーン・シリキット国際会議場に来場者数151,727人、2024年から開催され参加者からの関心が高いイベント。
トラベル、グルメ、アニメ、マンガ、グッズ、美容、工芸、日本留学・就職など、様々な業界の日本企業が出展。
https://nipponhaku.com/exhibition/
「日本博」は、伝統文化から最先端のテクノロジーまで、“日本の魅力を丸ごと世界に伝える” ことを目的にした取り組みです。
2025年は大阪万博に合わせたキャンペーンでもあり、訪日観光、コンテンツ輸出、地域産品の販路拡大などが期待されています。

福島にとってのヒント
福島の産品や観光も、こうした「日本博」の枠組みの中で紹介される可能性があります。特に 食文化・日本酒・農産加工品 は、海外からの関心が高いジャンル。
万博をきっかけに “日本全体のストーリーの中で、福島をどう際立たせるか” が大事だと感じました。


〈ワタシ視点〉
2日目は「化粧品・スポーツ・文化」と、タイ市場を多面的に体感できた一日でした。
2日間の視察を締めくくる日本博2025を見たとき、あらためて「最終的に勝負を決めるのは“日本らしさ”の表現力だ」と強く感じました。
タイ市場において、日本ブランドはすでに“信頼”を得ています。その延長線上に、日本博での発信があり、福島からの挑戦も確かにつながっていく。そんな未来像を描けたラストでした。
👉2日間を通じて見えたのは、タイ進出に必要なのは単なる商品力ではなく“現場力”。
現地工場の柔軟な対応力、地域と共に歩む姿勢、卸や小売の目線でのリアルな工夫、そして文化イベントによる価値発信。これらが組み合わさることで、市場での信頼と持続的な展開が実現するのだと実感しました。
さらに重要なのは “現地を知る行動力”。最初は旅行でもいい。スーパーや日本食レストランを歩き、自分の目で「ビビビッ」と感じる瞬間をつかむ。そこから「運」を引き寄せることが、挑戦の第一歩だと思います。
今回のセミナーで得た学びと出会いに心から感謝するとともに、その縁を福島の皆さまへと確かにつないでいきたいと思います。
👋チューガンマイ(พบกันใหม่อีกครั้ง)また会いましょう!
第1回「タイ視察セミナー2025 Day1①|タイ人が求める日本製品とEC市場」
https://spacexone.com/blog/2158/
第2回「タイ視察セミナー2025 Day1③|タイ人が求める日本製品とEC市場」
https://spacexone.com/blog/2208/