こんにちは。ドローン事業部マネージャーのOHTANIです。

最近、水中ドローンや配管点検クローラーを使った点検の相談がかなり増えています。下水道、工場設備、地下配管、暗渠など、人が簡単には入れない場所の点検です。以前は「水中ドローンって何に使うんですか?」という反応も多かったのですが、最近は「見えない場所を見たい」という、かなり切実な相談が増えています。そして最近現場でよく聞く言葉があります。

「この管の中、数十年見られていないんですよ」、あるいは「図面はあるんですが、手書きなので正確か分からなくて……」という話です。

当初は「そういうものかな」と思っていたのですが、あまりに多いので、そもそもこの設備はどうやって維持していく想定だったのだろう、という疑問が湧いてきました。

作ることと、維持することは別

実際、現場によってはかなり驚くことがあります。開口部が小さすぎて人が入れない。そもそも内部確認を想定していない構造になっている。図面が残っていない。残っていても現況と違う。もちろん、作られた時代背景はあります。高度経済成長期は、とにかく作ることそのものが優先の時代だったと思います。当時はインフラ整備を猛烈なスピードで進めていたと思いますし、それによって今の便利な社会ができているのも事実です。

実際、日本のインフラはかなり優秀だと思います。海外と比べて品質が高く、数十年にわたって社会を支えてきました。ただ感じるのは「作る」と「維持する」は、まったく別の話だったのではないか、ということです。作るときは予算がつきますし、完成すれば成果として見えます。一方で維持管理は、問題が起きなければ注目されません。そのため、どうしても後回しになりやすい。さらにインフラは寿命が長いので、作った人と維持する人が別世代になります。そうすると、どこかで「未来の誰かが何とかするだろう」という感覚が生まれやすいのかもしれません。

“見えないところ”に社会の“意識”が出る

最近は下水道関連の相談もかなり増えています。ニュースなどでも老朽化が話題になっていますが、実際に内部を見ていると、単純に「古いから壊れる」という話だけではないように感じます。その内部環境はかなり過酷で、油、薬品、異物、堆積物など、本当にさまざまなものが流れ込みます。あまり詳しくは書けませんが、「これは本来流れてきてはいけないのでは……」と思うものを見ることもあります。

もちろん全員に悪意があるわけではないと思いますが、「少しくらいなら大丈夫だろう」「自分だけなら…」そういう小さな行動の積み重ねが、長い年月をかけて設備を傷めている。これは下水道に限らず、インフラ全体に共通している気がします。道路も、配管も、インフラというのは、その社会の“意識”まで含めて出来ているのかもしれません。

技術が進歩すると、問題も“見える化”する

幸い技術はかなり進歩してきています。以前なら確認できなかった場所も、水中ドローンや配管点検クローラーはじめ、ロボットを使えば確認できるようになってきました。これは大きな変化だと思います。今までは「見えないから仕方ない」で済んでいた場所が、実際に見えるようになってきた。しかも見えるようになったことで、「たぶん大丈夫」で済んでいたものが、実際に見るとかなり厳しい状態で、対応せざるを得ない状態になっています。技術の進歩は単に便利になるだけではなく、「今まで向き合わなくてよかった問題」と向き合うことでもあるのだなと感じます。

「誰かが何とかしてくれる」は、そろそろ限界かもしれない

最近とくに感じるのは、いよいよ「どこかで、誰かが、何とかしてくれる」という感覚だけでは、回らない時代に入ってきたなということです。そしてこれは行政や企業だけの問題ではなく、すべての人が関係する問題だと思います。「設備を丁寧に使う」「自分の行動の先をイメージする」結局こういう小さな積み重ねが、設備を長持ちさせることにつながります。インフラというと、どうしても「誰かが管理しているもの」という感覚がありますが、本当は、社会全体で使っているものです。だから、「誰かが何とかしてくれる」ではなく、もう少し「自分ごと」として考える必要があるのかもしれません。